研究課題/領域番号 |
21K01181
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05040:社会法学関連
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
岩本 諭 佐賀大学, 経済学部, 教授 (00284604)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 平均的な消費者 / 脆弱な消費者 / 一般消費者概念 / 独占禁止法 / 景品表示法 / 消費者委員会 / 一般消費者 / 消費者概念 / 若年消費者 / 消費者保護 / 消費者法 |
研究開始時の研究の概要 |
日本で最初の消費者保護立法である独占禁止法を中心とする競争法は「一般消費者の利益」を保護する目的を掲げているが、そもそも「一般消費者」とは「何か」、「誰か」という視点から説明されることはこれまでなかった。本研究は、「一般消費者」という考え方の下で運用されてきた法制度の課題を整理することを通じて、「個々の消費者」の利益と権利を実現する消費者保護のあり方を考察することを本旨とするものである。
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研究実績の概要 |
2年度目に当たる2022年度は、申請時の当該年度の研究計画「EU・ドイツの「平均的な消費者」概念の理論・判例調査」に基づき、EUで立法された「平均的な消費者」及び対概念である「脆弱な消費者」の二つの概念に関する理論展開および判例の状況について調査を行うことにより、日本における「一般消費者」に関する用語ないし概念との関係性について研究を遂行した。 2005年EU不公正取引慣行指令の制定以降2022年に至る議論をサーベイする中で、二つの消費者概念(平均的な消費者と脆弱な消費者、以下同じ)に対する肯定的な評価と否定的・消極的な評価の対立が、2010年前後の時期と比較すると、より明確になってきた印象がある。前者は、EU委員会等の行政担当セクションおよび競争法(自由競争法、公正競争法)の立場を中心に唱えられている。二つの消費者概念は、「あるべき消費者像・モデル」としての機能を果たしており、消費者政策を立案・執行する上で一定の役割を担っている。また、競争法においても、既に平均、脆弱それぞれの概念と結びついた不公正判断基準が立法化され、判例が蓄積してきていることから、二つの消費者概念は競争法の指標となるものと評価してきている。 他方、後者は、二つの消費者概念はモデルにすぎず、現実の契約被害やトラブルに対処する上で実践的な意味はないとする。そもそも、かかるモデルの設定にかかわらず、ドイツにおいては1970年代から定着した見方であったように、消費者はそもそも「愚かな、不完全な存在」であり、この事実を消費者契約法による解決の出発点にしなければならないとする。 日本の一般消費者概念は、かかるモデル論から派生したものではなく、二つの消費者概念との距離には隔たりがある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2022年度は、申請時に予定していたEUの状況調査を契機として学術研究論文(1本)を執筆・公表することができただけではなく、日本における「一般消費者概念」をめぐる判例研究について研究会で公表し、研究成果として雑誌掲載する機会(1本)、さらに国内におけるデジタル広告規制と消費者概念に関する学術研究の機会(2本)を得て、いずれも執筆することができた(3本公表済み、1本公表待ち)ことにより、2022年度は、当初の計画以上に進捗しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、申請時のスケジュールでは最終年度に当たる。申請時の計画では「前2年の研究に基づき『一般消費者』の意味内容の具体化、『脆弱な消費者』概念との関係性の整理をとおして、日本の競争法と消費者法の双方に共通する『消費者概念』の意味と位置付けについての取りまとめを行う」と記載している。この方向での研究遂行は予定どおり実施する予定である。 ただし、「研究実績の概要」でも述べたとおり、EU、ドイツにおける民事消費者法(消費者契約法)の立場からの二つの消費者概念に対する批判的見方が根強いこと、および消費者そのものについての捉え方(不完全な消費者)について、日本における研究者の昨今の研究やこれまでの研究成果を確認することにより、一般消費者の意味内容の具体化と深化を図る必要があると考える。かかる視点に基づく研究を追加的に行う予定である。 なお、2022年度は、学内の付加的職務との関係で、調査研究のための国内出張が十分に行いえていない。2023年度9月期で一旦任期を迎えることから、取りまとめ作業を加速化させる予定であるが、現時点では予測の域を超えない。大学執行部や所属部局長への遅滞ない相談を実施することにより、研究遂行に支障がないよう努力する。
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