研究課題/領域番号 |
21K01183
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05040:社会法学関連
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
橋本 陽子 学習院大学, 法学部, 教授 (00292805)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 労働法 / 労働者概念 / EU法 / ドイツ法 / 違法労働 / ドイツ労働法 / EU労働法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、公法的な労働法上の規制に着目して、その規制のあり方と、私法的な規制との違いについて、検討することを目的としている。とくに、私法上の規制と保護の対象となる労働者の範囲が異なるのか否かという点を明らかにしたい。具体的には、本研究では、違法労働(事業者が、労働法・社会保険法・税法等の法律上の雇用主としての責任を免れることを目的として、法形式を偽装して他人を雇用すること)に対するドイツ法の規制との比較法的研究を行いたいと考えている。違法労働の取り締まりの問題は、日本において、今後の立法課題になりうるものであり、そのための重要な基礎資料を提供できるものと考える。
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研究実績の概要 |
2022年度は、従来からの研究テーマである労働者概念について、アメリカのABCテストやEUのプラットフォーム労働に関する2021年の指令案における労働者性の推定規定を検討して、日本にも同様の推定規定を導入できないかという提案を行った(「労働者性の推定規定の可能性」)。現在、日本の労基法・労契法上の労働者概念は裁判例では狭く解されており、この現状を打開するためには、推定規定の導入が意味を持つのではないかと考えている。また、ドイツの労働者概念について、共著『デジタルプラットフォームと労働法―労働者概念の生成と変容―』において、これまでの労働者概念の歴史的発展経緯を簡潔にまとめたうえで、ドイツにおける労働者概念を転換させた、2021年12月の連邦労働裁判所のクラウドワーカー判決について検討を行った。同判決については、ロルフ・ヴァンク教授の講演会を2022年6月にオンラインで実施し、その講演の翻訳も公表した(「連邦労働裁判所のクラウドワーカー判決」)。 その他、最近のEU司法裁判所の重要判決として、EU域内の国境を越えた労働力移動に関する社会保険法上の規制について検討を行った(「EU域内を移動する派遣労働者に送り出し国の社会保障法の規制が引き続き適用されるための要件」)。EUでは、国境を越えた労働者派遣が広く行われているが、EU法上、送り出し国の社会保障法上の規制が引き続き適用されるための特例によってソーシャル・ダンピングが誘発される事例が頻発している。社会保障法上の特例と各国の労働法上の規制との関係にも不明瞭な点が存在する。この問題は、日本に直ちに参考となるものではないが、現在のEUの労働問題を理解する上で重要な意義をもつといえる。 さらに、男女雇用平等法制に関するドイツ法との比較研究のほか、ドイツ労働法に関する翻訳書(ミヒャエル・キットナー『ドイツ労働法判例50選』)を出版した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最近のドイツおよびEU労働法の展開について、着実に研究を進めることができた。論文を執筆するだけではなく、ドイツ人研究者の講演会も実施し、日独交流に貢献することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度も引き続き、ドイツおよびEUの細心の労働法の展開について検討を行い、労働者概念、労働時間法制等、近時の重要問題について研究を行う予定である。
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