研究課題/領域番号 |
21K01194
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05050:刑事法学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
永井 善之 金沢大学, 法学系, 教授 (50388609)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 暗号資産 / 電子マネー / キャッシュレス / 財産犯 / 刑法 / 経済刑法 / デジタルプラットフォームビジネス / 刑事法学 / 情報 / 決済 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、電子マネーや暗号資産に代表される、通貨に類似した決済機能を有する電子的財産情報の刑事的保護法制の構築に向けた解釈論的・立法論的検討を目的とする。わが国の現行刑罰法規では原則的に情報自体の不正取得等は捕捉されないことから、電子決済の普及に伴い前記のような電子的財産情報が通貨に匹敵する機能を営む現代において、本情報に化体された財産的利益やそれらを用いる決済システムの安全性、それへの信頼等の十分な保護を図ることが困難となりうる。本研究では、現行法によるその保護の可能性と限界を明らかにしつつ、それら財産情報とそれに係る規制対象行為類型の適正かつ明確な輪郭づけを試みる。
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研究実績の概要 |
我が国の現行刑罰法規は、営業秘密等のごく一部を例外として、その無体性ゆえの範囲限定の困難性等を理由に情報自体の不正取得等を罰する規定を有しないところ、このような刑法体系にあっては、暗号資産等の電子的財産情報はもとより、ビッグデータに代表されるその高度の有用性に基づく経済的価値を有する情報について、その十分な保護を図ることが困難となりうる。そこで本研究では、現在の我が国におけるこれら財産的経済的価値のある情報に関係する諸法律によるそれらの保護の具体的な可能性とその限界を明らかにしつつ、これらの価値ある情報それ自体と、それに係る規制対象行為類型の適正かつ明確な輪郭づけを試みることで、これらの情報の十分な保護を達成しうる刑罰規定のあり方を探究することを目的とする。3年の研究期間の2年目となる令和4年度においては、その前年度に実施した、我が国における金融関係法規における電子的財産情報関連の諸規制の分析に引き続いて、商取引活動の局面における高価値情報の取扱いに係る法的規制の分析を試み、その具体例として、いわゆるデジタルプラットフォーム事業者における情報の取扱いとの関係での法的規制体系につき、近時の法改正によるものも含めて詳細かつ総合的に分析することに注力した。そこからは、これらの高価値情報はその内容が当該情報主体の保有する財産的情報に直結しない情報(個人情報等)も含まれており、その厳格な法的保護が事業者等の情報取扱主体の不利益に反作しうるという関係にあること、このこともあってか、我が国でのその法規制の程度は先進諸外国によるそれに及ばない部分もあり、グローバル経済社会における情報保護法制のハーモナイゼイション面で我が国には課題があること、などを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」欄にて前述した令和4年度の研究進捗状況が当初計画通りであること、また、以上の成果の公表も行い得たことによる。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度までの研究により、「研究実績の概要」欄にて前述したような成果を得た。本研究の最終年度となる令和5年度においては、これらの成果に基づき、財産的経済的価値を有する電子情報の「保護」の意義を改めて確認して明確にした上で、我が国における現行の諸法律による規制についての評価という解釈論的考察と、それで補われえない部分に係る立法論的考察を併せて、一定のまとめを得る予定である。
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