研究課題/領域番号 |
21K01197
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05050:刑事法学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
古川 伸彦 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (00334293)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 刑法 / 業務上過失致死傷罪 / 過失運転致死傷罪 / 危険運転致死傷罪 / 殺人罪 / 重過失致死傷罪 / 刑事法学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、自動運転システムを含むITSにかかる技術・産業の一層の発展が国家的課題として推進される現状において、その社会的受容性を高める上で不可欠の領域の1つである、事故時等の責任関係の問題、具体的には、主に道路交通法が規律すべき交通ルール上の検討課題と、主に刑法・自動車運転死傷行為等処罰法が規律すべき刑事罰則上の検討課題を洗い出し、既存の法制度、法適用によっては十分にまかなうことができない論点を特定し、それを補うために必要な法整備、法理論を探究、提案することにより、我が国の交通刑事法における、来るべきCASE新時代に備えたアレンジメントの方策を見出そうとするものである。
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研究実績の概要 |
本研究は、自動運転システムを含むITSに係る技術・産業の一層の発展が国家的課題として推進される現状において、その社会的受容性を高める上で不可欠の領域の1つである、事故時等の責任関係の問題、具体的には、主に道路交通法が規律すべき交通ルール上の検討課題と、主に刑法・自動車運転死傷行為等処罰法が規律すべき刑事罰則上の検討課題を洗い出し、既存の法制度、法適用によっては必ずしも十分に賄うことができない論点を特定し、それを補うために必要な法整備、法理論を探究、提案することにより、我が国の交通刑事法における、来るべきCASE新時代に備えたアレンジメントの方策を見出そうとするものである。本年度は、研究計画に掲げたとおり交通死傷事犯の実体的規律の検討を行い、特にその成果として、(1)交通死傷事犯における故意犯と過失犯の限界付けに係る問題、(2)いわゆる自動運転車の自動化レベルに応じた刑事責任の在り方に係る問題、(3)刑事過失責任の捜査・公判の在り方に係る問題に関し、それぞれ論文等が発表済み、又は発表予定(掲載確定)である。(1)は、当初計画では交通死傷事犯においては過失犯が想定されるとの前提であっため必ずしも想定していなかった課題であるが、いわゆる未必の故意(殺意)の意義・認定を巡って実務上の悩みが生じていることが判明したため、関連するケース研究を新たに行った。(2)は、前年度から継続して取り組んでいる日独の比較研究であり、出版社の事情により刊行作業が遅れたが、2023年5月に公刊される。(3)は、当初計画では2024年度に予定していたテーマであるが、本研究の遂行の一環として2021年度の日本刑法学会大会大会において過失犯論に関するワークショップをオーガナイズしたところ、過失犯の刑責追及の在り方を巡って理論と実務の足並みが揃わない困難な現状が判明したため、前倒しして2022年度に取り組んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
検討作業の対象は、おおむね研究計画に沿って進んでいる(部分的に、新たに追加した課題や、前倒しして取り組むこととした課題もある)。研究成果の一部は、論文等の形で公表している(出版社の事情等により刊行が遅れているものもある)。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に従って検討作業を進行していくが、本年度の研究成果として掲げたテーマ(未必の故意関係、自動運転技術関係、過失犯の認定関係)は、いずれも、現在の学界・実務界において、喫緊のアクチュアリティーを獲得するに至っており、継続して取り組むことが求められている。論文公刊によって簡単に区切りを付けてしまうわけにはいかないと思われるので、その反響をにらみつつ、次年度においても再検討を続けていくこととする。
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