研究課題/領域番号 |
21K01199
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05050:刑事法学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
豊田 兼彦 大阪大学, 大学院法学研究科, 教授 (90410539)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 刑法 / 共犯 / 幇助犯 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、幇助犯の成立要件のうち、幇助行為の促進性(行為の属性としての、他人の犯罪を促進する性質)に注目し、その意義と幇助行為の限定枠組みを明らかにしようとするものである。 幇助の因果関係や中立的行為による幇助の問題に比べると、幇助行為の促進性は、議論の蓄積が十分ではなく、その具体的な判断基準は未解明のままである。これは看過できないことである。なぜなら、これまで幇助犯として起訴されてこなかったと思われる促進性の微妙な行為が、判断基準の不明確さゆえに十分に吟味されることなく安易に起訴され、不当に処罰されるおそれが生じているからである。本研究は、このような懸念を払拭することを目指すものである。
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研究実績の概要 |
本研究は、幇助犯の成立要件のうち、幇助行為の促進性(行為の属性としての、他人の犯罪を促進する性質)に注目し、その意義と幇助行為の限定枠組みを、ドイツの議論を参照しながら明らかにしようとするものである。 2年目となる今年度も、前年度に引き続き、本研究の準備的な作業を行った。すなわち、幇助行為の促進性に関するわが国の議論を整理し、その到達点と課題を具体的に把握するために、わが国の関連文献と裁判例を収集・分析・検討した。このうち、今年度は、とくに裁判例の収集・分析・検討に力を入れた。この作業において、参考となるいくつかの裁判例を新たに発見し、これと本研究における仮説、すなわち、幇助行為の促進性、とくに心理的幇助の促進性の判断においては、単なる居合わせや犯行への同意を超える積極的関与があったかどうか、そのような関与に正犯者の安心感を高める作用があったかが問題とされ、このような作用があった場合に幇助行為該当性が肯定される傾向にあるとの仮説を照らし合わせた結果、この仮説が間違っていないことが改めて確認された。 そして、その成果の一部を中立的行為による幇助の議論と対比させながら整理し、中間的な成果を示す論文として公表した。 他方、当初予定していたドイツの議論の検討、とくにドイツの裁判例の検討については、必ずしも十分に進めることができなかった。次年度は、この点の検討を含め、さらに研究を進め、その成果を整理し、論文として公表できるよう努めたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ドイツの関連文献・裁判例の収集・分析・検討は十分には進んでいないが、それ以外については順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、ドイツの関連文献・裁判例の収集・分析・検討を進め、研究成果を整理し、論文として公表する準備を進める。
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