研究課題/領域番号 |
21K01202
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05050:刑事法学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
神例 康博 岡山大学, 法務学域, 教授 (40289335)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 経済刑法 / 経済犯罪 / 法益 |
研究開始時の研究の概要 |
企業等の経済活動には様々な法的規制が及んでいる。本研究は,経済規制の領域において刑罰法規がいわば氾濫している状況を踏まえ,経済活動を規制する刑罰法規(経済刑法)を体系的に整序し,現行罰則規定の解釈論と新たな立法論とを架橋する理論的枠組みを明らかにすることにより,経済活動の規制の分野における刑事規制の導入基準を明らかにしようとするものである。
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研究実績の概要 |
「経済刑法」の体系的整序を図り、解釈論と立法論とを接続する経済刑法の統一的視座を明らかにすることにより、経済活動の規制の領域における刑事規制の導入基準を明らかにする、という本研究の目的に即して、経済刑法全般にかかわる総論研究を継続して行いつつ、個別の経済刑法罰則に関する各論研究を行った。 まず、貸金業法と罰則について、いわゆる「給与ファクタリング」と貸金業法違反の罪の成否に関する研究を行った。給与ファクタリングとは給与債権を対象とする債権の買い取りをいうが、その実体は金銭の貸し付けではないかが実務において争われていたところ(貸し付けであれば、貸金業法の規制の対象となる)、最高裁令和5年2月20日第三小法廷決定は、刑事判例としてはじめて、給与ファクタリングが金銭の貸し付けに当たると判示した。この事案は、経済刑法における行為規範の具体化という観点からも検討すべき課題を有するものであるが、貸金業法の無登録営業罪等の保護法益をどのように考えるべきかという論点も含んでおり、経済刑法各論の体系化という観点から重要である。 次に、独占禁止法と罰則について、いわゆるリニア談合事件を素材として、民間事業者が発注する事業につき、発注者が競争による受注者決定を望む場合において、競争を回避することが不当な取引制限罪を構成するか、経済刑法が保護すべき「競争」の意義を踏まえて検討を行った。これについては、2024年3月に中国・河南大学で開催された日中経済刑法研究会において「競争の保護と刑事法」と題して研究報告を行った。 さらに、組織的犯罪処罰法と罰則について、同法の「団体」の意義について検討を行った。同法は企業活動を広く射程に収める可能性があることから、「団体」をどのように捉えるべきか、経済刑法の視点から研究を行った。 なお、本年度の研究成果の多くについては、2024年度に順次発表できるよう準備している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
最終年度となる本年も、昨年度に引き続き、本研究の目的を踏まえて、経済刑法全般にかかわる総論研究と個別の経済刑法罰則に関する各論研究を並行して行った。研究期間の3年間を通じて、経済刑法総論及び経済刑法各論の研究を深化させることができたと考えている。また、国内での調査研究に障害がなくなったことも研究の進展にとってありがたかった。さらに、経済刑法の体系的研究を通じて、経済刑法の実践的課題として、経済刑法における行為規範の具体化とその手続的保障をめぐる理論的・実務的課題の研究という次の課題を見とおすことができたと受けとめている。本研究で得た知見を踏まえ、引き続き、研究を深化させたい。 もっとも、2023年度に予定していた国外調査についても、現下の国際情勢に鑑み延期した。現地に赴いての調査研究は適わなかったものの、メールを利用した意見交換を行うことにより、可能な限り研究の遅れを生じないように努めたつもりであるが、調査研究を通した課題の抽出とその分析を行うことができていない。そのため、研究期間を1年延長させていただくこととした。
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今後の研究の推進方策 |
既述のように、研究は概ね順調に進んでいるが、国外調査研究を実施できていない。3年間の文献研究を通して得た課題を国外調査研究において分析しつつ、本研究をさらに深化させ、一定の結論を得ることが本年度の課題となる。 研究期間を1年間延長していただいたことで、本年度、ドイツにおける国外調査を予定している。本年度は、「経済刑法の体系化と刑事規制の導入基準―解釈論と立法論とを接続する視座の構築―」という本研究の締めくくりの年であると同時に、「経済刑法における行為規範の具体化とその手続的保障をめぐる理論的・実務的課題の研究」という新たな研究の初年度でもあるので、研究の連続性を意識しつつ、本研究の締めくくりたいと考えている。
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