研究課題/領域番号 |
21K01204
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05050:刑事法学関連
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研究機関 | 淑徳大学 |
研究代表者 |
大橋 靖史 淑徳大学, 総合福祉学部, 教授 (70233244)
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研究分担者 |
高木 光太郎 青山学院大学, 社会情報学部, 教授 (30272488)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 供述分析 / スキーマ・アプローチ / 特徴的な欠落 / 鑑定事例 / 供述信用性評価 / 非体験性 |
研究開始時の研究の概要 |
刑事裁判において心理学的手法による供述信用性鑑定が採用されるケースが多くなっている。我が国では、供述の変遷に着目した「供述分析」や、反復する説明パターンに着目した「スキーマ・アプローチ」など、質的アプローチが提唱され主軸の一つとなっている。本研究の目的はこれら質的手法に統合的な理論的・方法論的基盤を付与し、その信頼性と有用性を向上させることにある。具体的には、理論的・方法論的枠組を、意図的虚偽の観点ではなく、非体験性と関わる「特徴的な欠落」の観点から統合する可能性について、鑑定事例の収集と分析、「特徴的な欠落」の理論的・実証的検討、及び鑑定を利用する司法関係者からの聴き取り調査を通し探究する。
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研究実績の概要 |
本研究では、まず「供述分析」および「スキーマ・アプローチ」の鑑定事例における情報の「特徴的な欠落」に注目し、その機能を明らかにすることを目指した。そのため、初年度(2021年度)は、「供述分析」の鑑定事例を網羅的に収集し、分析における「特徴的な欠落」の位置づけと機能を解析する作業を行った。 2年目(2022度)及び3年目(2023年度)は、この作業結果をもとに、情報の「特徴的な欠落」が供述の信用性と結びつく構造について、理論的・実証的な検討を行う予定であった。理論的には、S. FreudやF.C.Bartlett等の体験供述における忘却や情報の欠落に着目した古典的な研究成果、生態心理学の体験にE.Reedの想起機論と遮蔽の概念などを視野に入れた検討を行った。 この作業と並行して、実際に体験した出来事の想起と実際には体験していない出来事の想起とを比較し、想起された内容や想起の仕方の違いを、「供述分析」と「スキーマ・アプロ―チ」を用い実験的に明らかにする予定であった。しかしながら、諸般の事情(2022年度はコロナ禍のもとで研究協力者に体験で実験に参加いただき、実験を実施することが難しかったこと、2023年度はその点を考慮した実験計画の見直しを行う時間が、研究代表者の業務が多忙であったため、十分確保できなかったこと)から、実証的な検討作業については計画通りに進めることができなかった。 したがって、理論的な検討作業については進めることができたが、実証的な検討作業について計画を延期せざるを得ず、2024年度に持ち越すこととなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
【研究実績の概要】に示したように、コロナ禍において対面での実験の実施が困難であったこと、および、研究代表者の業務が多忙であったことから、実験計画の修正について十分検討する時間をとることができなかったことから、研究を1年延長して実施することとした。
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今後の研究の推進方策 |
対面での実験が許される状況となり、当初立てていた研究計画に基づく実施が可能になったことから、2024年度は、実証的な検討を実施するとともに、その結果を踏まえ、理論的な検討作業の結果と実証的な検討作業の結果の両者を踏まえた、統合的な提案を2024年度中に行う予定である。
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