研究課題/領域番号 |
21K01206
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05050:刑事法学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
松原 芳博 早稲田大学, 法学学術院(法務研究科・法務教育研究センター), 教授 (70258581)
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研究分担者 |
杉本 一敏 早稲田大学, 法学学術院(法務研究科・法務教育研究センター), 教授 (30366984)
内田 幸隆 明治大学, 法学部, 専任教授 (60388890)
仲道 祐樹 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (80515255)
渡辺 卓也 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 准教授 (90350454)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 特別刑法 / 刑法理論 / 経済犯罪 / ネットワーク犯罪 / 交通犯罪 / 金融犯罪 / 道路交通犯罪 / 児童 / 対児童犯罪 |
研究開始時の研究の概要 |
刑法典以外の法律に規定されている罰則群は特別刑法と呼ばれる。特別刑法にかかわる事件は、犯罪現象全体の半分程度に及んでおり、その研究は実践的重要性が高い。にもかかわらず、特別刑法の研究自体は活発とは言えない。特別刑法の研究が活発でないということは、「裁判をやってみないとわからない」という法適用の不明確さをもたらす。この状態を改善するため、本研究では、明確で透明性のある特別刑法の解釈枠組みはどのようなものか、現在の裁判所の判断は理論的にどのようなものでそれは理論的に支持しうるものなのか、を分析することを通じて、透明性と体系性を備えた特別刑法解釈のあるべき枠組み提示を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究課題は、特別刑法の理論研究が学界全体として不十分であり、そのことゆえに、特別刑法の解釈適用にあたって、「裁判をやってみないとわからない」状況が生じている、という認識から、判断の透明性を高め、体系的に一貫した解釈を可能とするような、特別刑法のあるべき解釈枠組の構築を目指す。 2022年度においては、おおむね2019年から2021年までの特別刑法判例について、網羅的に収集した上で、研究分担者を含む研究者に理論的分析を依頼した。その成果は、松原芳博=杉本一敏編『判例特別刑法第4集』(日本評論社)として公刊した。 研究代表者(松原)は、引き続き特別刑法判例研究会を主宰し、2022年度は4度の研究会を実施し、8名の研究者から知見提供を受けた。また、不法残留罪に関する理論研究を行い、論文化した。 各研究分担者(渡邊、内田、杉本、仲道)は、それぞれの分野についての判例分析を進め、その成果の一部は、前出『判例特別刑法第4集』で公表した。研究分担者(内田)は、営業秘密の保護に関する理論研究を進め、その成果を後掲の論文の形で公表した。研究分担者(仲道)は、著作権法に関する理論研究を実施したほか、医師法に関する最高裁判例について分析の機会を得、その成果を後掲の論文等の形で公表した。 2019年から2021年にかけての特別刑法裁判例の網羅的収集が行えた点、またこれを踏まえて各研究分担者において、理論研究が進展した点が今期の成果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は、特別刑法の専門研究グループである特別刑法判例研究会と連携した知見提供による効率的な知見拡大と、それを受けた研究代表者、分担者による理論研究からなる。 前者については、オンラインを併用するなどしてコロナ禍による影響を回避し、定期的な知見提供の機会の設定に成功している。その過程で、研究チームに重要判例の情報が集積している。 後者については、それぞれが判例分析の形で『判例特別刑法第4集』で成果の一部を公にしたほか、各自の分担領域での研究成果を世に問うている。 最終年度は、これらの成果をまとめる段階となるが、まとめに入るだけの準備が整ったと評価することができるため、「おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度より、本研究課題の成果を、リレー連載の形で公表する機会を得た。研究代表者、分担者のほか、今後この研究課題を発展させるポテンシャルのある若手研究者を含めてチームを形成した。これにより、特別刑法判例研究会に加えて、理論面での研究会を組織することとなり、理論面での検討を発展させる契機となっている。2023年度は、従来の判例に関する知見提供と並んで、このリレー連載の場を主戦場とした理論面でのアウトプットにも注力する予定である。
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