研究課題/領域番号 |
21K01207
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05050:刑事法学関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
渕野 貴生 立命館大学, 法務研究科, 教授 (20271851)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | SNS / 犯罪報道 / 社会復帰権 / 適正手続 / 公平な裁判 / 表現の自由 / 陪審員選択手続 / 無罪推定原則 / プロバイダ責任制限法 / SNS / 公正な裁判 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、第一に、SNSを通じて刑事事件情報や被疑者・被告人の個人情報が拡散されることによって、被疑者・被告人の公正な裁判を受ける権利や無罪推定法理などの刑事手続上の基本権ならびに社会復帰権などの人格権が侵害される構造について、法理論研究・アメリカ法研究と実態調査とを組み合わせて解明し、刑事手続上の基本権や社会復帰権が、SNS表現から法的に保護されるべき権利であることを理論的に根拠づける。そのうえで、本研究は、表現の自由の限界を見極めつつ、発信者情報開示の法制度化や、推知報道禁止の範囲拡大など、SNS表現による権利侵害を実効的に防止し、あるいは法的に救済する具体的制度を提示する。
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研究成果の概要 |
文献調査や弁護人からの聞取り調査を通じて、SNSにおいては、報道を誤読したり、曲解したりする結果、マスメディア報道よりも格段に深刻に、被疑者・被告人の人格権を侵害したり、有罪の予断を植え付ける効果を有していることが明らかになった。 以上の研究を踏まえ、第一に、少年については、推知報道を全面的に禁止すべきことを提言した。第二に、不法な情報拡散を抑止する法的な制度として、SNS上で情報を拡散する際に顕名での利用を義務付ける制度の可能性およびプロバイダーに対して自動的に関連情報を消去することを義務付ける制度の可能性について探究した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の成果として、SNSを通じた情報拡散によって少年に生じる成長発達権侵害の重大性に鑑み、少年法68条の廃止を明確に提言したことは理論的にも社会的にも大きなインパクトがある。 また、本研究が、顕名での情報拡散の義務付け可能性について行った問題提起は、表現の自由と情報を拡散される者の人権をめぐる議論を格段に進展させる契機となり得るものである。さらに、時の経過を根拠に情報を消去することの権利性を確立していくことは、キャンセルカルチャーに対する対抗理論としても重要な意義を有しており、犯罪被害者保護と情報を拡散される者の社会復帰権の両立可能性についての議論の発展に寄与するものと考える。
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