研究課題/領域番号 |
21K01217
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05060:民事法学関連
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研究機関 | 北海道大学 (2023) 新潟大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
牧 佐智代 北海道大学, 法学研究科, 教授 (40543517)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 貸付け / 給与ファクタリング / 情報商材 / 消費者裁判手続特例法 / 支配性要件 / 法と経済学 / 民法 / 契約法 / 認知バイアス / 消費者 |
研究開始時の研究の概要 |
近時、行動経済学の発展および法学と隣接諸科学の共同研究の進展を受け、消費者の認知バイアスやそれにつけこんだ各種ビジネスの手法が明らかにされつつある。本研究は、認知バイアスを持った消費者にのみ有効に働きかけをなすよう設計・構築された業者の勧誘手法・契約構造を幾つかの市場を例に明らかにすると共に、当該勧誘手法・契約から損失を被る消費者を保護しつつ社会的厚生を改善するという適正レベルでの法的規制を設計しようとするものである。
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研究実績の概要 |
2023年度は次の2つのことに取り組んだ。 (1)給与ファクタリングが貸金業法・出資法上の「貸付け」に該当するかどうかについて判断を下した最高裁決定(最決令和5年2月20日刑集77巻2号13頁)の登場を契機として、下級審裁判例を含め検討を加えることによって、給与ファクタリングの取引の仕組み・手法を紐解いた。それにより、給与ファクタリング取引においては、債権譲渡・債権売買の法形式をとることによって、①そもそも金銭消費貸借契約を締結している(借金をしている)こと、②利息が徴収されていること、③その利率、について借主たる消費者の認識を妨げるべく取引の仕組みが構築されていることを明らかにした。 (2)消費者の認知バイアスを利用した勧誘・取引・契約構造は、上記給与ファクタリング取引も含め、日々新たに業者によって構築されているところ、これらの取引・契約構造を規制するためのルールの設計の仕方として、ルールベースかプリンシプルベースかという視点、また、ルールかスタンダードかという議論は重要な視座を有している。このとき、2023年に行われた金融商品取引法・金融サービス提供法の改正内容を検討することにより、同改正では、それぞれのアプローチのメリット・デメリットを踏まえつつ、プリンシプルベースで規律していた内容の一部をルールベースアプローチでも規律することによって、不適切な実務態様について「最低基準の底上げ」を図ろうとうするものであることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は年度途中での移籍(所属先変更)により、研究時間の確保に困難が生じた。このため、上記研究実績のうち、(2)については研究業績として公表にまで至ることができたが、(1)については公表に向けて準備途中にある。
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今後の研究の推進方策 |
上記研究実績(1)の給与ファクタリング取引における消費者の認識阻害性について、論文の公表に向けて作業を進める。 また、給与ファクタリングに代わる、貸金業法・出資法の規制逃れの貸付けの手法として、後払い現金化や先払い買取現金化といった手法も登場しており、これらがどのような仕組み・機能を有しているかについて検討を行う。
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