研究課題/領域番号 |
21K01241
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05060:民事法学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
温 笑トウ 東北大学, 法学研究科, 教授 (80754548)
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研究分担者 |
石綿 はる美 一橋大学, 大学院法学研究科, 准教授 (10547821)
長戸 貴之 学習院大学, 法学部, 教授 (90632240)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 事業信託 / 株式信託 / 事業継続 / 相続 / 譲渡損益課税 / 租税法 / 事業承継 / 信託 / 構造上の利益相反 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、中小企業の多様なニーズに応えるために、現在、日本で用いられている事業承継信託スキームのほかに、諸外国の利用状況を調査した上で、信託法、会社法、民法及び租税法の視点から、各スキームの合法性と実行可能性を検討し、日本の法律環境と中小企業の現状に適した多様な事業承継信託スキームを提案するとともに、制度の見直しが必要であると判断した場合、その見直すべき問題点と理由を明らかにする。本研究は、事業承継信託に関わる現行法規制の合理性を新しい時代に向けて再検証するための重要な作業となる。
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研究実績の概要 |
実績1:温研究者は、「後継者不在の中小企業のための新しい事業承継信託の構想」を題する論文を執筆し、後継者不在の中小企業の事業承継における問題を解決するため、従来検討されていた自然人を指図権者とする事業承継信託のスキームの限界を指摘した上、海外の経験を参考して家族理事会及びファミリーオフィス制度の導入を提言した。同論文は2023年度中に公表される予定である。 実績2:温研究者は、基礎研究として「信託の成立と信託設定意思の推定」を題する論文を執筆し、信託の成立要件について再検討した。 実績3:石綿研究者は、信託を利用した事業承継の円滑化の方策を検討する前提として、民事信託において当事者の相続が生じた場面についての研究を行った。その中で、死亡した委託者の地位がどのように相続されるかについて検討をし、相続法上の課題も含め、検討が必要な問題が多く、また従前必ずしも十分に検討されてこなかった委託者の地位について検討が必要であることを明らかにした。この点に関して、「信託における委託者の地位の相続」という論稿を執筆し、同論文は、2023年度に公表される予定である。 実績4長戸研究者は,商事分野における信託の利活用方法を租税法の観点から明らかにするために,「事業信託と課税--制度間競争の観点から」と題する論文を執筆し、2023年度中に公表される予定である。同論文では、実務的に利用されていない事業信託を中心に,利用されない原因や利用するメリットなどを他の組織体を利用する場合と比較する形で租税法の観点から明らかにした。結論としては,事業信託は,事業の切り出しにおいて,委託者兼当初受益者が受益権を譲渡しないような形での事業の切り出しのために用いるのであれば,信託設定時の譲渡損益課税を発生させないようにすることができる点で,法人・組合・有限責任事業組合・匿名組合にはないメリットがある可能性を指摘した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、事業信託が日本であまり行われていなかった原因を、信託法、租税法及相続法の角度から分析し、事業信託が使われるようになるための実務的提言を行い、障害となっていた相続法の問題も解釈論の角度から解決を図ろうとした。本年度の研究は、中国法、アメリカ法及びフランス法から多くの示唆を得た。予定とおりおおむね順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの調査結果を踏まえ、各種の事業承継信託スキームの合法性と実行可能性をさらに検討し、信託法、会社法、民法及び租税法の視点から考察する。
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