研究課題/領域番号 |
21K01247
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05060:民事法学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
本間 学 金沢大学, 法学系, 准教授 (80387464)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ウェブ公開 / 訴訟記録のオンライン公開 / Open Justice / リモート審理 / 民事裁判のIT化 / 裁判公開 |
研究開始時の研究の概要 |
民事裁判のIT化は、ウェブを介した裁判公開の可能性を生み出す。このことは我々に、裁判公開原則が、法廷における審理の公開を念頭におく伝統的なものから、オンラインを基盤とした現代的な意義を有するものへと変貌を遂げるのではないか、という期待を生じさせる。他方でそのような変容は、SNS等の普及した現代社会においては、訴訟関係人等の情報保護との関係で問題も孕む。では、デジタル化が進展した社会において、民事裁判の公開はどのようなものであるべきなのか。それとの関係で、訴訟関係人等の情報保護はどのように図られるべきなのか。本研究は、イギリス、アメリカ、ドイツ法との比較法的考察により、この問題に取り組む。
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研究実績の概要 |
令和5年度は、令和4年度までの英国及び米国におけるウェブ公開とOpen Justiceとの関係、プライバシー保護のあり方に関する議論の分析を踏まえ、①ドイツにおける裁判公開とその実質化の方途としてのウェブ公開の評価に係る議論を分析し、英・米の議論と比較検討することを予定していた。あわせて、②一般第三者による訴訟資料のオンライン閲覧の可能性、及び訴訟関係人等のプライバシー保護方法についても、昨年度までの検討の結果から、考察対象に加えることとしていた。ウェブ公開の実質化のためには、一般第三者による訴訟資料のオンライン閲覧が不可欠である一方、ここでもプライバシー保護との調整を要するからである。 以上の計画についての成果は以下のとおりである。①については、ドイツ法の議論状況を主に文献調査により行った。ドイツの議論は、現状、プライバシー保護への配慮からウェブ裁判公開に慎重な意見が多いが、そこでの議論はプライバシー保護にあたり考慮すべき視角を獲得するうえで参考となる点が多い。他方、予定していた英・米との比較までには至っていない。米国におけるウェブ裁判公開は、各州、連邦でスタンスが異なるため、その理由を分析する必要があり、これらの分析をドイツ法の分析と並行して行っているためである。最後に、当初の予定では、2024年3月にドイツ法系民事訴訟法担当者会議に参加し、ドイツにおける議論状況について同地の研究者と意見交換を行う予定であったが、2024年度末に研究代表者の所属機関の異動が生じた関係で、やむなく参加を断念した。 ②については、英・米・独いずれについても活発な議論が存在することが確認できている(ただし、審理のウェブ公開と必ずしも関連したものではない)。これらの議論を、今年度においては、前年度に引き続き、主に文献調査により、整理・分析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していたドイツ法系民事訴訟法担当者会議への参加を断念したことで、情報収集が文献面に偏ってしまったこと、また、一般第三者への訴訟記録のオンライン公開をめぐる議論は示唆に富む多くの文献が存在するが、その分析に時間を要していることが理由としてあげられる。
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今後の研究の推進方策 |
基本的な方向性に変更はない。もっとも、ドイツ人研究者との意見交換については、昨今の為替相場の状況にかんがみると、現地での意見交換は実現が困難となるおそれも否定できない。そのような場合には、オンラインによるヒアリング等、別の手段による代替が可能か模索してみたい。 他方、本年11月に台湾で開催予定の東アジア法律家会議において、本研究テーマにかかる報告を行う予定である。当初計画にはなかったものであるが、ドイツ法の影響を受けた東アジア国々の研究者と意見交換を行い、新たな視点を獲得し、議論のブラッシュアップを図りたいと考えている。
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