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匿名による訴訟追行のための手続法的課題の分析と考察

研究課題

研究課題/領域番号 21K01248
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分05060:民事法学関連
研究機関慶應義塾大学 (2023)
名古屋大学 (2021-2022)

研究代表者

川嶋 隆憲  慶應義塾大学, 法務研究科(三田), 教授 (50534468)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
キーワード民事訴訟法 / 公開主義 / 秘密保護 / 氏名・住所等の秘匿
研究開始時の研究の概要

本研究は、現行民事訴訟制度が手続利用者に「顕名」での訴訟追行を要求することから生じる諸問題を背景として、わが国の実状に即した「匿名」による訴訟追行の可能性とその限度を模索するとともに、これを解釈論・立法論として具体化することにより、紛争当事者の裁判を受ける権利の実質的保障の実現に寄与することを目指すものである。

研究実績の概要

当年度は、令和4年民訴法等改正により「当事者に対する住所、氏名等の秘匿」(改正民訴法133条~133条の4)の制度(以下「秘匿決定制度」という)が新たに創設されたことを契機として、わが国においてこれまで様々に模索されてきた当事者等の「匿名化」手法(民事訴訟において当事者等となるべき者の氏名・住所等を相手方当事者等に明示しないものとする解釈・運用上の工夫を広く含む)を振り返るとともに、新たに創設された秘匿決定制度が、従前の「匿名化」手法に及ぼす影響を分析・考察することに注力した。これまでに知られている、解釈・運用上の「匿名化」手法には、大別して、(1)犯罪やDV等の被害者が加害者に対して提起する損害賠償請求訴訟など、相手方当事者による更なる加害行為のおそれがあるケースにおいて、当事者の安全等確保の観点から、当事者の真の氏名・住所等を訴状等に記載しない形をとってきたものと、(2)社債の元利金支払請求訴訟など、係争利益が多数の者に関わるケースにおいて、訴訟手続の複雑化回避の観点から、係争利益の帰属主体以外の者が訴訟を追行する形をとってきたものとに分けることができる。今般の秘匿決定制度の創設により、前者の「匿名化」手法は、基本的には秘匿決定制度に置き換わっていくことが見込まれる一方で、後者の「匿名化」手法は、秘匿決定制度とは目的を異にし、今般の法改正によっても直接の影響を受けることはないと言える。秘匿決定制度が創設された今日においては、同制度それ自体の解釈・運用論が重要であることは言うまでもないが、同制度が当事者等の「匿名化」のための唯一の選択肢でなければならない必然性はなく、上記(2)のような、「第三者代行型」というべき匿名処理の立法論・解釈論としての可能性は、改正法の下でもなお引き続き検討に値すると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当年度は、前記【研究実績の概要】に記載のとおり、本研究課題に関する調査・研究(特に「当事者に対する住所、氏名等の秘匿」の制度に関する調査・研究)を進め、その成果を公表することができたほか、本研究課題そのものではないが、訴訟に関する情報の秘密扱い(第三者からのアクセス制限)に関連する研究として、令和4年民訴法等改正によって新たに設けられた「和解調書の閲覧制限」(改正民訴法91条2項、91条の2第4項)に関する調査・研究を手掛けることができ、これについてもその成果を公表することができた。当年度に関しては、比較的順調に本研究課題に関する調査・研究を前進させることができたと考えている。進捗状況につき「やや遅れている」との評価は、前年度までの進捗状況に遅れが生じていたこと、また、当年度下半期において、民事訴訟法分野の現行法制度の見直しに関連した共同調査に着手することになり、これに一定のエフォートを割く必要を生じたことによる。

今後の研究の推進方策

本研究課題が当初の目標としていた、匿名による訴訟追行のための新たな手続ルールの構築は、令和4年民訴法等改正により新設された「当事者に対する住所、氏名等の秘匿」(改正民訴法133条~133条の4)の制度(以下「秘匿決定制度」という)によって、一定程度、立法的解決が図られることとなったが、同制度の創設後にあっても、なお以下のような研究課題を設定し、遂行していくことが可能であると考えている。
第一は、秘匿決定制度そのものについて、立法解説や先行研究、施行後の解釈・運用の状況をもとに、現行制度の持つ課題や限界の洗い出しを行っていくことである。第二は、【研究実績の概要】にも記載のとおり、広い意味での匿名による訴訟追行のあり方は、秘匿決定制度のような「当事者情報不記載型」の手法に限らず、暴追団体訴訟制度のような「第三者代行型」の手法も考えられることを踏まえ、後者の解釈論・立法論としての可能性を模索していくことである。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うちオープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 訴訟当事者等の「匿名化」に関する覚え書 ――住所・氏名等の秘匿制度の創設を契機として2024

    • 著者名/発表者名
      川嶋隆憲
    • 雑誌名

      JCAジャーナル

      巻: 71-1 ページ: 37-43

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] (紹介)John Jackson, Special Advocates in the Adversarial System (Routledge, 2019)2023

    • 著者名/発表者名
      川嶋隆憲
    • 雑誌名

      民事訴訟雑誌

      巻: 69 ページ: 181-189

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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