研究課題/領域番号 |
21K01261
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05060:民事法学関連
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
舩津 浩司 同志社大学, 法学部, 教授 (80454479)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 組織行為の無効の訴え / 新株発行無効の訴え / 払込みの仮装 / 会社の組織行為 / 特殊の新株発行 / 合併無効の訴え / 組織行為 / 組織再編 / 会社訴訟 / 新株発行 / M&A |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、設立、新株発行、合併・会社分割・株式交換・株式交付等の会社の組織行為によって不利益を受ける利害関係者の適切な救済手段を提供するための解釈論あるいは立法論的提案を行うことを目的とするものである。具体的には、事後的な救済手段として現行法上活用が想定されている「会社の組織に関する行為の無効の訴え」(会社法828条)があまり用いられていないという問題認識から、その救済の実効性を検証したうえで活用に向けた制度改正を提案し、あるいは、差止制度、株式買取請求制度および損害賠償等の他の救済手段に委ねるべき場合があれば、それらの救済制度相互の棲み分けについての制度的提案を行うものである。
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研究実績の概要 |
当年度は、主としてわが国の近時の裁判例において現れる、会社の組織行為の無効の訴えおよびその代替手段として考えられる規律の動向を調査した。 まず、組織行為の無効の訴えの提起権がどのような性質を有するのか、とりわけ、株主が有する提訴権の性質を検討した。具体的には、株主が提訴権を有する局面において、当該株主が破産をした場合を念頭に、その訴権が管財人の管理に服することになり、管財人が訴訟追行を行うことになるのか、それとも株主自身が行使することのできる一身専属権と解するべきかについて、裁判例を基に分析を行った。 また、前年度より継続していた、組織行為の無効の訴えの対象となる行為はどのようなものか、組織行為の無効の訴えの対象となることにはいかなる意義があるかについての分析結果を、論文にまとめて公表した。新株発行無効の訴えとの関連では、さらに、組織行為の無効の訴えの対象となるかについて争いのある、新株発行等における仮装払込みの事例について、これを新株発行無効の訴えの対象とすることの意義につき、それに関連する規律(払込みの仮装者や関与取締役等に対する仮装額支払義務)との間の機能の分担等について分析した。 加えて、組織行為の無効の訴えという事後的紛争解決手段との対比の観点から、事前の紛争予防手段である定款自治の意義について分析を行った。具体的には、会社の重要な意思決定を行う株主総会の決議要件を、定款で加重した場合に、どこまでその効力を認めることができるか(どのような決議事項については効力が認められないか)についての分析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
主として新株発行無効の訴えを素材とするものではあるが、本研究課題の主たるリサーチクエスチョンの重要な構成要素をなす、組織行為の無効の訴えの対象となるか否かでどのような違いが生じるかについての分析を行う論考を公表し、かつ、当該論考中で他の組織行為の無効の訴えについても相当程度分析を行うことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
当年度までの研究で、組織行為の無効の訴えの現状は概ね把握できたことから、今後は、それを踏まえて、組織行為の無効の訴えを、それ自体として改善する提案、あるいは、それに代わる救済手段を検討する必要がある。本研究課題の主たるリサーチクエスチョンは「組織行為の無効の訴えはなぜ使われないのか」にあることに鑑みれば、今後の研究の重点は前者に置くべきであると考えられるものの、これには、民事訴訟法分野の専門的知見が欠かせない。本研究課題のさらなる推進のための協力体制を構築していく必要がある。
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