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環境条約のガバナンス機能の正当性及び実効性の要因分析と再構築

研究課題

研究課題/領域番号 21K01278
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分05070:新領域法学関連
研究機関酪農学園大学

研究代表者

遠井 朗子  酪農学園大学, 農食環境学群, 教授 (70438365)

研究分担者 眞田 康弘  早稲田大学, 地域・地域間研究機構, 客 員主任研究員(研究院客員准教授) (70572684)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワードCITES / 持続可能な利用 / 海産種 / 木材規制 / 違法な野生生物取引 / エピステミック・コミュニティ / IPLCs / 正当性 / 生物多様性 / 動物福祉 / グローバル・ガバナンス / 環境条約 / 実効性 / 野生生物犯罪
研究開始時の研究の概要

本研究は、絶滅のおそれのある野生動植物の国際取引に関する条約(CITES)を対象として、多数国間環境条約が条約目的及び義務の範囲を越えて、国際公益実現のために締約国の行動にコントロールを及ぼす作用を明らかにするものである。特に、種の絶滅リスクに関する科学的評価の再編、地域共同体のニーズの考慮、密猟・違法取引の犯罪化に焦点を当てて、条約のガバナンス機能の拡張の正当性及び実効性の要件を明らかにする。これらの検討を通して、CITESは価値多元主義へと舵を切り、野生生物の多様な価値を認める一方で、保全を損なうリスクの低減を図るため、多層的なガバナンスの構築が目指されていることを明らかにする。

研究実績の概要

前年度に開催した公開ワークショップのフォローアップとして、議論の概要をまとめたコラムを公表した。また、招聘したゲスト・スピーカーらの共著論文(Vincent, A.C.J Foster, S.J., Fowler, et.als.2022)を、JWCSが許諾を得て邦訳する際、一定の支援を行った。いずれも、サメ類の附属書II掲載は科学的証拠に基づき、規制の実効性を確保するための手法を用いて行われ、過剰な規制により資源管理に悪影響をもたらすものではなく、「持続可能な利用」の促進手段である点について普及啓発を試みたものである。また、研究分担者及び協力者と共に、CITESのレジームの変容及び国内実施について、研究成果を公表した。代表者はCITESにおける「持続可能な利用」の主流化の下、比較的順調に規制が進展した木材の規制プロセスを検討し、主要な原産国が国際規制を高級木材の濫伐への有効な対抗策として受容したこと、また、規制強化により代替品への需要が高まる中で、幅広い樹種について規制が進展している点を明らかにした。分担者はサメ・エイ類の附属書掲載の経緯及びその意義を検討し、「持続可能な利用」の言説が近年、原産国の間で幅広く受容され、規制推進の動因となっていること、また、CITESの規制が水産資源管理に悪影響をもたらすという懸念には合理的根拠がないことを明らかにした。違法な野生生物取引(IWT)に関する法規制については、米国がレイシー法改正によって域外における木材の違法伐採について法執行を強化し、違法性の評価において国際規制との連携が図られている点を明らかにした。一方、研究協力者は日本におけるCITESの国内実施法の構造分析を行い、水際規制は既存の貿易管理法令に依存するため、種の保存という条約目的と齟齬を生じ、条約レジームにおける動態的な規制の阻害要因となる可能性があることを指摘した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

前年度に開催した公開ワークショップの記録を報告書として取り纏める予定であるが、準備作業は遅れている。また、附属書II掲載後、サメ類についてRST手続が開始され、一部の原産国がゼロ割当を宣言する等、実施プロセスに変化がみられるため、附属書掲載の効果を検証する必要があるが、この点も検討が遅れている。違法な野生生物取引(IWT)については、CITESを含む国際レジーム間の協力と連携により国際的対応が図られ、生物多様性保全、国際犯罪及び公衆衛生の政策統合が進められているが、この動向を各国が国内法政策においてどのように受け止めているかという点に関する検討は準備段階に留まっている。SDと生物多様性保全との関連性が重視され、保全プロセスへの先住民族及び地域共同体(IPLCs)の参加は規範として認められているが、CITESにおける消極的受容の理由や、保全と持続可能な利用におけるILPCsの参加と人権アプローチとの交錯については、引き続き検討する必要がある。

今後の研究の推進方策

前年度に予定していた検討作業が遅れ、研究成果の公表に至らなかったため、研究期間を1年延長し、この間の状況変化も踏まえて検討作業を継続することとした。残された課題としては、①「持続可能な利用」が対象とする人間活動は広範でかつ多様であるが、排他的な財産権とは異なる利用の権原を含む、動態的な概念であることを、サメ類の附属書II掲載のフォローアップ、IPLCsの先住権との対比等により、明らかにする。②違法な野生生物取引については国際的平面では、複合的なガバナンスが発展を遂げ、国内においても統合的な施策が求められているため、その実施を確保するための規制デザインを主要国の制度比較等により検討する。③これらの課題の検討を推進するため、最終的な成果報告の形式を速やかに決定し、バックキャスティングにより、スケジュールを確認しつつ、研究会・公開セミナー等の開催により推進する。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (15件)

すべて 2024 2023 2022 2021

すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件) 図書 (3件) 学会・シンポジウム開催 (1件)

  • [雑誌論文] 漁業補助金とWTO漁業補助金協定 : 我が国の漁業補助金の現状と協定が国内政策に与えるインプリケーション2024

    • 著者名/発表者名
      真田康弘
    • 雑誌名

      環境管理

      巻: 60巻3号 ページ: 63-69

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 国際捕鯨委員会の変容2023

    • 著者名/発表者名
      真田 康弘
    • 雑誌名

      環境経済・政策研究

      巻: 16 号: 1 ページ: 39-43

    • DOI

      10.14927/reeps.ron1601-003

    • ISSN
      1882-3742, 2188-2495
    • 年月日
      2023-03-20
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Domestic Social Structures That Contribute to the Realization of Sustainable Development: Perspectives from the State of Distributive Justice in Japan,2023

    • 著者名/発表者名
      Kanami Ishibashi, Yasue Mochizuki, Akiko Toi, Koichi Owashi, Yuko Osakada, Noriko Okubo, Marie Tomita
    • 雑誌名

      ICCLP publications

      巻: 16 ページ: 196-218

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 生物多様性インクルーシブな環境影響評価2023

    • 著者名/発表者名
      遠井朗子
    • 雑誌名

      環境法研究

      巻: 17 ページ: 1-23

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] CITESにおける木材規制2023

    • 著者名/発表者名
      遠井朗子
    • 雑誌名

      環境管理

      巻: 59巻10号 ページ: 62-67

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] ワシントン条約における海産種(サメ・エイ)規制 : その背景と展望2023

    • 著者名/発表者名
      真田康弘
    • 雑誌名

      環境管理

      巻: 59巻11号 ページ: 44-50

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 研究ノート:スマートな統治と統治の正統性:『ナッジ化』する環境法という観点から2023

    • 著者名/発表者名
      遠井朗子
    • 雑誌名

      酪農学園大学紀要

      巻: 47巻2号 ページ: 79-89

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 絶滅が危惧される野生動植物の種の国際取引に関するワシントン条約の国内実施―野生生物の保全と動物福祉の統合という観点から2022

    • 著者名/発表者名
      遠井朗子
    • 雑誌名

      環境管理

      巻: 58-2 ページ: 30-34

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 『考えてみよう・先住民族と法』にみる学際的研究の課題と可能性「国際人権法 X 国際環境法」2023

    • 著者名/発表者名
      遠井朗子
    • 学会等名
      国際人権法学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] スマートな統治と統治の正統性:ナッジ化する環境法という観点から2022

    • 著者名/発表者名
      遠井朗子
    • 学会等名
      2022年度環境三学会合同シンポジウム
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 生物多様性保全と環境影響評価2021

    • 著者名/発表者名
      遠井朗子
    • 学会等名
      環境法政策学会第25回学術大会 第3分科会企画セッション「グローバルな視点からの日本の環境影響評価の再検討」
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [図書] 考えてみよう 先住民族と法2022

    • 著者名/発表者名
      小坂田 裕子、深山 直子、丸山 淳子、守谷 賢輔
    • 総ページ数
      246
    • 出版者
      信山社出版
    • ISBN
      9784797268119
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] ハイブリッド環境法2022

    • 著者名/発表者名
      西村智朗、山田健吾 (編著); 遠井朗子、Uchralt Otede、岩﨑恭彦、倉澤生雄、鳥谷部壌、庄村勇人、Yonjae Paik、Christopher McElwain、岡松暁子(著)
    • 総ページ数
      287
    • 出版者
      嵯峨野書院
    • ISBN
      9784842040646
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [図書] 国際環境法講義(第2版)2022

    • 著者名/発表者名
      西井正弘、鶴田 順(編著);児矢野マリ、遠井朗子、西村智朗、高村ゆかり、佐俣紀仁、久保田泉、堀 口健夫、本田悠介、瀬田 真、真田康弘、小林友彦、鳥谷部壌、柴田明穂、青木節子、石井由梨佳、権 南希、平野実晴、岡田 淳ほか3名(著)
    • 総ページ数
      320
    • 出版者
      有信堂高文社
    • ISBN
      9784842040660
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会・シンポジウム開催] ワークショップ:ワシントン条約におけるサメの保全と持続可能な利用(2023年3月8日)2023

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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