研究課題/領域番号 |
21K01281
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05070:新領域法学関連
|
研究機関 | 成城大学 |
研究代表者 |
町村 泰貴 成城大学, 法学部, 教授 (60199726)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 適格消費者団体 / 差止請求権 / 消費者法 / 団体訴権 / 消費者契約法 / 団体訴訟 / 差止訴訟 / 訴えの利益 / 訴訟機能 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、既に数多く行われている訴訟や申入れについて、訴訟提起の前後や訴訟後の事情などの具体的な紛争解決経過を調査し、申入れや差止訴訟による消費者法秩序の回復が果たされたかどうかという結果にとどまらず、その経過に立ち入って、差止請求権行使の正統性要素を明らかにし、団体の行動規範という形でまとめる。そして、その結果を踏まえて差止請求権の拡充や他分野における応用の可能性を提示する。
|
研究実績の概要 |
適格消費者団体の差止請求権行使の実務について、消費者庁のウェブサイトにて公表されている適格消費者団体の資料、適格消費者団体のそれぞれのウェブサイトにて公表されている活動記録を収集分析するとともに、消費者支援ネット北海道、消費者支援機構関西、消費者ネット広島の関係者に対するヒアリングと申入れ等の記録に基づく統計的な分析作業を行った。 すでに最初の適格消費者団体の認定が平成19年(2007年)であり、消費者庁のウェブサイトにおける公表資料の公開期限(現時点で2019年)はもちろん、各団体の公表期限(団体ごとに異なるが、5年程度というところが多い)も経過しているものが多く、各団体からの情報提供によらざるを得ない部分が大きいので、調査は難航している。しかしながら、このことは逆に本研究の意義・重要性を限りなく高めるものということができる。 他方で、訴訟になった事例については、一般に公開された判決文のみならず、各団体がそれぞれのウェブサイトで公開している判決文や和解条項を収集し、これを元にして各団体からの情報提供で申入れ段階の交渉経緯と、訴え提起に至った事情、訴訟中の主張の経過や変遷などを整理して、判決で差止めが認められたり棄却されたり、あるいは和解による解決に到達した経過から、それぞれの結論に至った要因分析を行っている。本研究が差止請求権行使の正統性を検討するというものであり、訴訟事案においても訴え提起に至った経過から訴訟前の交渉では決着が着けられなかった要因を明らかにすることで、訴訟提起の正統性の有無が基礎づけられるし、また訴訟中の主張の変遷からも、その判決や和解という決着の当否や内容面での必然性を明らかにすることができる。 2022年度はまだ調査分析が完了しておらず、上記のような検討のために引き続き調査分析を進めていく。なお、フランスの消費者団体実務との比較は一定の進展を見た。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究開始時点でのコロナ禍により、適格消費者団体のヒアリングは遅れていたが、2022年度までに各団体ヒアリングに着手することができた。ただし、当初の見込み以上に情報量が多く、また公表期限経過後のものも予想以上に多くなっているので、ヒアリングによる情報収集は完了できず継続する必要がある。 なお、申請段階で行う予定であった事業者調査が、面談が困難な環境のもとで積み残された一方で、フランスにおける消費者団体の活動との比較検討は、直接面談の機会があったほか、ウェブ会議システムの利用により進展した。本研究課題には外国の消費者団体の活動との比較の視点も欠かせないので、重要なところで予定以上の進展があった。
|
今後の研究の推進方策 |
まずは、2022年度に完了に至らなかった各適格消費者団体の活動に関する資料収集と整理分析を継続して行なう。これまでのヒアリング調査の限りでも、公表された申入れや訴訟の情報を詳細に把握した上で行われるヒアリングは、極めて実り多い情報が得られるが、そうでない段階でのヒアリングでは抽象的な内容しか得られないことが明らかであり、入手可能な情報の整理分析を進展させることがまず不可欠である。 また、本研究課題の申請段階では、事業者調査を2022年度までに行なうべきところ、積み残されたので、今後は適格消費者団体の活動の調査分析と並行して事業者調査の実施を行なう。これに加えて、行政庁(消費者庁および自治体)に対する調査も、当初予定通り2023年度に実施する予定である。
|