研究課題/領域番号 |
21K01304
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
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研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
小野 一 工学院大学, 教育推進機構(公私立大学の部局等), 教授 (80306894)
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研究分担者 |
岡村 りら 専修大学, 国際コミュニケーション学部, 准教授 (40614954)
松尾 隆佑 宮崎大学, キャリアマネジメント推進機構, 講師 (20873326)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 放射性廃棄物 / 最終処分場 / 熟議民主主義 / ステークホルダー / 比較政策分析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、放射性廃棄物管理政策に関する理論的・実証的な比較分析である。使用済み核燃料(高レベル放射性廃棄物)の最終処分場建設は、一部を除き立地のめども立たない。技術的(自然科学的)テーマであるのみならず、透明性ある手続きと市民参加による社会的合意形成という意味で政治的(社会科学的)な、既存科学の諸前提を覆す長期的視野の下での「不利益の公正配分」という意味で倫理・哲学的(人文科学的)な思考も必要とする、学際的研究である。現代デモクラシー論の新展開もふまえつつ、(欧米を中心に)放射性廃棄物管理をめぐる議論と政策過程を検証するが、近い将来に急展開が予想される日本への示唆を得ることをも目的とする。
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研究実績の概要 |
2022年度には、2回の研究会(オンライン開催)を行い、本科研メンバー以外の参加者を含め議論した。6月25日開催の本年度第1回研究会(通算6回目)では、外部メンバーである友次晋介氏(広島大学)に「ロシア・ウクライナ戦争と核施設への攻撃の含意/『燃料サイクルの帝国』と『規制帝国』の衝突のゆくえ」という標題で報告して頂き、討論した。当科研プロジェクトの趣旨に鑑みウクライナは興味深い分析対象であるのに加え、国際情勢の激変が与える影響を理解する上でも、時宜に適った充実した研究会となった。9月24日開催の第2回(通算第7回)研究会では、岡村りらが最近のドイツにおける脱原発政策の進展を報告するとともに、以下の北海道視察ツアーからの知見が共有された。 北海道視察ツアーには、本科研からは小野一および松尾隆佑が参加した。8月17日には、さっぽろ自由学校「遊」の「北海道の『核のゴミ』処分問題を考えるpart2」第4回講座(滝川康治氏が「『最終処分法』の問題点を探る」で講演)に参加した。8月18日には、寿都町役場担当職員の案内・解説で同町の風力発電施設を見学した。8月19日には岩内町議会議員佐藤英行氏へのインタビュー、および周辺町村(泊村、神恵内村)の諸施設を見学した。8月20、21日には、豊富町で開催された「2022ほろのべ・核のゴミを考える全国交流会/寿都・神恵内で『概要調査』をさせないために」に参加した。ここでの学習・交流活動は、幌延町深地層研究センターでの原子力機構への申し入れ行動の準備も兼ねる。 岡村は、2022年8月にドイツ出張を行っている。 研究成果を学術論文や口頭報告等のかたちで発信する活動も、各メンバーにおいて行われた(「10.研究発表」の項を参照)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度もコロナウイルス蔓延の影響は残ったが、状況の改善により徐々に本来の研究活動に戻りつつある。オンライン方式の研究会活動で成果を上げたのは前年度に引き続いてのものだったが、今年度は、上述したような国内および海外における出張を伴う調査研究が行えるようになった。外部メンバーも含めたネットワークも進展し、とりわけ、2023年度に学会報告を行う段取りを整えたことは重要な意義を有する。
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今後の研究の推進方策 |
2023年秋に開催される日本政治学会において、分科会「放射性廃棄物管理と現代デモクラシー~~最終処分場立地をめぐる政治過程を中心に」(司会:小野)を設置する。報告者と報告テーマは、尾内隆之(外部メンバー)「核廃棄物処分の科学技術と社会をめぐる地質学的政治学」、岡村りら「高レベル放射性廃棄物最終処分場選定に関する議論~~日独比較を中心に」、松尾隆佑「放射性廃棄物管理における参加と熟議~~ステークホルダー関与の観点から」である。討論者(いずれも外部メンバー)は、寿楽浩太と高野聡が務める。 その他に、学術論文の執筆や口頭報告等を、各メンバーにおいて行う。本科研を通じて培われた研究会活動やネットワークは、今後も継続し、発展させる。科研プロジェクトの継続も視野に入れる。
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