研究課題/領域番号 |
21K01305
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
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研究機関 | 津田塾大学 |
研究代表者 |
中條 美和 津田塾大学, 総合政策学部, 准教授 (90707910)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 政治的信頼 / 行動選択 / COVID-19 / 世論 / 政治不信 |
研究開始時の研究の概要 |
政治的信頼があるから人々は政府の決定に従う、という通常の因果関係とは異なり、本研究は「有事においては人々の行動が政治的信頼を決定する」という逆の因果関係の実証を試みる。具体的には、新型コロナウイルス感染症拡大時にマスク着用や活動自粛という政府や公的機関の指示に沿う行動を選択したことが政治的信頼の強化につながっているという仮説を日米の事例において実証する。
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研究実績の概要 |
本研究は、政治的信頼を持つ人々は政府の決定に従った行動をとるという通説に見られる因果関係とは逆の因果関係の可能性を模索する。特に有事においては、先に行動があり、その行動が結果的に政府の指針に沿うものであれば、人々は政治への信頼を表明するというメカニズムの仮説検証を目的とした。 2023年度は、7月にクラウドソーシングにより有権者2,000人を対象としてウェブサーベイを実施した。「自分が犠牲となる政策が実施される場合、政府への信頼が増す」という先行研究における犠牲理論をもとに、より具体的な仮説として「自分が犠牲となっている認識がある場合は、政府への信頼表明がある」とした。「自分が犠牲となっている認識」の測り方として、COVID-19パンデミックにおける犠牲度を直接尋ねる場合と、新型コロナワクチン接種とその後の死亡の因果関係の認識を尋ねる方法の2つを用いた。その結果、直接犠牲度を尋ねる場合では仮説は支持されなかったが、ワクチン接種とその後の死亡の因果関係を積極的に認めるほど、ワクチン接種回数が政府への信頼に与える影響は正の効果があることが明らかとなった。つまり、ワクチン接種のリスクを強く認識しているにもかかわらず、ワクチンを数回にわたって接種してきた人々は、政府への信頼が高くなる傾向がある。 以上の研究結果を2023年8月のアメリカ政治学会にて発表した。また、同じ調査枠組みで2023年12月にも調査を実施し、ほぼ同じ結果を得て、2024年4月のアメリカ中西部政治学会への発表とつなげている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度に2回にわたって調査を実施し仮説検証を行った。研究計画当初は「犠牲となる政策」として「外出自粛」や「マスク着用」の行動選択について調査する予定であったが、感染症対策の状況変化と政策変更そして政治情勢の変化可能性により、2022年度までの調査実施タイミングが難しく断念した。その代わり、2023年初夏のタイミングで「ワクチン接種」を行動選択の調査対象とした。2023年度中に調査結果を出し、国際学会における学会発表でフィードバックを得、より洗練された分析手法や理論構築を行う段階に達している。
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今後の研究の推進方策 |
2024年4月にアメリカ中西部政治学会で発表、フィードバックを得てより頑健な分析手法や学際的な先行研究から理論再構築を行う。その上で、2024年9月にはアメリカ政治学会にて再度発表を行い、学術誌投稿へとつなげる。また、タイミングがあえば2024年度中にも再度調査を実施する予定である。
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