研究課題/領域番号 |
21K01309
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
関口 佐紀 早稲田大学, 政治経済学術院, その他(招聘研究員) (10880403)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ナショナリズム / 狂信 / ルソー / 宗教 / 共和主義 / 祖国愛 / 市民宗教 / 立法者 / 不寛容 / パトリオティズム / 情念 / 愛国心 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ルソーの政治的テクストの分析を行い、とくに『社会契約論』第4篇第8章で示された市民宗教の教説に着目しつつ、市民を狂信に陥らせることなしに祖国愛を醸成するメカニズムを明らかにする。具体的には、ルソーが狂信の特徴を隷従への傾向と捉える点に鑑み、市民宗教には市民が主権者としての主体性と自由を実践することで隷従を克服する効果があること、さらに市民宗教を含む諸制度の構想には市民の自由・平等・政治参加の保障のみならず、自足の感情と国家に対する愛着を育む狙いがあることを示す。こうした分析により、本研究はルソーの政治思想において能動的で主体的な市民が形成される過程の精緻化を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究課題は、ジャン=ジャック・ルソーを中心とした18世紀フランスの政治思想について、主権の担い手である人民の形成にとって宗教がどのような関与・役割を持ちうると考えられていたかを分析し、共和国にとってナショナルな要素がいかなる意味を持つかを考察した。これにより、18世紀フランスの共和主義のもとでは、気候や風土、歴史や習俗といった各民族に固有の要素は自由と平等という共和国の目標を実現するための政治制度構築のために考慮されること、そして宗教的な感情は祖国と人民との紐帯や祖国愛を支える活力とみなされるが、他民族や他国に対する排他性と結びつく信念は狂信として忌避されることを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
従来、ルソーの『ポーランド統治考』は、大国からの侵略・弊害に対抗するポーランドが共和国として独立を維持するための制度案を提供する点において、18世紀におけるナショナリズムの先駆けとみなされてきた。これに対し、本研究はルソーのテクストにおける「ナショナル」な要素の意義を分析しつつ、それらが共和国の目標である自由と平等の実現にとって重視されることを明らかにし、ナショナリズム論におけるルソーの評価を精緻化した。また、『社会契約論』で示された政治的な原理が各国家のナショナルな要素に応じて修正される筋道を詳らかにすることで、18世紀フランスの政治思想解釈に新たな視座を提供した。
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