研究課題/領域番号 |
21K01322
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
井上 弘貴 神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (80366971)
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研究分担者 |
片山 文雄 東北工業大学, 総合教育センター, 教授 (40364400)
石川 敬史 帝京大学, 文学部, 教授 (40374178)
森 達也 神戸学院大学, 法学部, 准教授 (40588513)
清川 祥恵 佛教大学, 文学部, 講師 (50709871)
野谷 啓二 神戸大学, 国際文化学研究科, 名誉教授 (80164698)
相川 裕亮 金城学院大学, 国際情報学部, 講師 (30911911)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 極右思想 / ブリティッシュ・イスラエリズム / ポスト・リベラリズム / ニューライト / カトリシズム / アメリカ政治思想史 / 極右過激主義 / オルトライト / 保守主義 / キリスト教 |
研究開始時の研究の概要 |
アメリカにおいて宗教保守、とくに福音主義は、トランプ前大統領の岩盤支持層であるという報道が日本でもしばしばなされた。しかし、そうした福音主義、あるいは宗教保守一般は、一体どのような思想から成り立っているのか、必ずしも日本では十分に理解されてきていない。そのために、この点における日本のアメリカ理解は、いまだ表層的なものにとどまっているのが現状である。そこで本研究は、宗教保守を社会的背景から外在的に説明するのではなく、その主要な思想家や知識人の主張を環大西洋的視点から歴史的に考察することをつうじて、宗教保守の内在的な論理を明らかにすることを目指す。
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研究実績の概要 |
令和4年度は、コロナ禍の各種状況を慎重に見極めた結果、引き続き対面による研究会の開催を断念したものの、オンラインで夏と冬の2回、研究会を実施した。8月28日に本年度第1回(通算第2回)研究会を開催し、研究分担者である相川裕亮氏の著書『ビリー・グラハムと「神の下の国家」アメリカ』(新教出版社、2022年)を課題テキストとして討議をおこなった。研究分担者の石川敬史氏による報告「福音伝道者が織りなすアメリカ保守主義の論理」を共同討議の出発点としつつ、政治権力に追随する祭司とも、政治権力を激しく批判する預言者とも異なる宗教指導者のありかたとしての福音伝道者という範型について検討した。この検討をつうじて、トランプ大統領誕生の際の岩盤支持層と呼ばれた福音派は、歴史的にみて必ずしも一枚岩ではないことを確認することができた。 研究代表者は上記の研究会にくわえて、7月10日にオンライン開催となった日本イギリス哲学会関西部会第66回研究例会において、「ブリティッシュ・イスラエリズムとアメリカ合衆国でのその受容」と題した報告をおこない、19世紀後半を代表するブリティッシュ・イスラエリズムの論者であるエドワード・ハインの主張をテキスト内在的に検討した。また、研究代表者は10月1日に龍谷大学でおこなわれた日本政治学会2022年度研究大会のA3分科会「現代における政治的支配と知」において、「ポストリベラル保守の知識人と権威主義」と題した報告をおこない、現在において戦後第3のニューライトを形成しようとする潮流のひとつであるポストリベラルの知識人たちが、カトリックの知識人たちから多く構成されており、ハンガリーを西洋世界の理想国家として肯定的に思い描いている現状を分析した。 令和5年3月26日にはオンラインで本年度第2回(通算第3回)研究会を開催し、ロバート・ベラーの市民宗教論について共同討議をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は複数回の研究会を開催し、新たな研究分担者として相川裕亮氏の参加を得たこともあり、十分な進捗を得ることができた。20世紀アメリカの極右思想の土台のひとつとなるクリスチャン・アイデンティティの成立に重要な役割を果たしたブリティッシュ・イスラエリズムであるが、19世紀後半の主唱者であるエドワード・ハインのテキスト分析から、ハインには反ユダヤ主義的傾向はないことが明らかとなり、ブリティッシュ・イスラエリズムと反ユダヤ主義との結びつきは自明でないという結論を得ることができた。20世紀前半におけるブリティッシュ・イスラエリズムのアメリカ合衆国への輸入に際して、反ユダヤ主義がどのような論者によって組み込まれるに至ったのか、令和5年度にさらに研究を進めていくための足がかりを得るに至った。 今年度はまた、ポストトランプの政治的動向を探るうえで検討から外すことのできないポストリベラル右派(あるいはポストリベラル保守)の潮流を検討することをつうじて、カトリックの知識人たちを中核とする今日の宗教保守の思想運動が、環大西洋的に進展していることについて見通しを得ることもできた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である令和5年度については、前年度と同様に夏と年度末の2回、研究会を開催し、研究を推進することを予定している。この2回の研究会では引き続き、メンバー間での共通理解の獲得にくわえて、各自の研究の進捗について確認するための報告の機会を得たいと考えている。夏の研究会では、池田直樹『ピーター・L・バーガー――分極化するアメリカ社会と対峙した社会学者』(ナカニシヤ出版、2023年)の合評も予定する。 共同討議のための研究会と並行し、とくに研究代表者は、20世紀前半におけるブリティッシュ・イスラエリズムのアメリカ合衆国への輸入に関連した、当時の知識人たちの動向や系譜の調査を進めていく。とくに同時代のアメリカにおける反ユダヤ主義の代表的主張者と言えるヘンリー・フォードと、かれが所有した週刊の新聞である『ディアボーン・インディペンデント』紙の発行にかかわった人びとの思想と行動について検討を進める予定である。 以上にくわえて、2024年秋の次回大統領選挙に向けた動向を踏まえつつ、ポストリベラル右派(ポストリベラル保守)をはじめとする宗教保守の最新の動きについても分析を継続する。
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