研究課題/領域番号 |
21K01330
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
谷口 尚子 慶應義塾大学, システムデザイン・マネジメント研究科(日吉), 教授 (50307203)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 脳神経科学 / エネルギー政策 / 実験政治学 / 脳神経政治学 / fMRI / 脳波計 / 高レベル放射性廃棄物最終処分場問題 / 政治的意思決定 / 合理的・計算的判断と感情的・直感的判断 / 熟議・討議民 主主義 / 熟議・討議民主主義 / 高レベル放射性廃棄物処分場 / 政治学実験 / 熟議・討議型世論調査 |
研究開始時の研究の概要 |
原子力発電の高レベル放射性廃棄物処分場問題を題材とし、熟議・討議型世論調査の枠組みに則り、専門家や一般市民の肯定的/否定的言説が実験参加者に与える影響を、fMRI装置や脳波計による脳活動の撮像・計測を通じて分析する。有権者の政治的意思決定(合理的・計算的判断/感情的・直感的判断等)に接近し、どのような情報・コミュニケーションや認知のあり方が合意形成を可能に、また困難にするかを検証する。2021年度に高レベル放射性廃棄物処分場問題に関する予備調査とfMRI装置・脳波計を使った予備実験を行い、2022年度に本実験を実施、データを分析する。2023年度に研究成果発表(論文執筆、学会発表等)を行う。
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研究実績の概要 |
今期は第一に、調査と脳波実験を行ってデータ分析を行った。事前調査を通じて、被験者の属性(年齢・性別・家族構成・居住地域等)やパーソナリティ(リスク態度など)によって、エネルギー政策や発電方法に対する考えが異なることを確認した。また脳波実験によって、上記の被験者の違いによって情報に対する反応が異なることを確認した。とりわけ原子力発電への関心や選好によって情報に対する感度が異なり、実験後の調査でも意見変容の程度に差が見られた。このことは、エネルギー政策に関するコミュニケーションを多元的に行う必要があることを示唆している。 第二に、以上の実験から得た知見に一般性を加えることを目的として、一般市民対象に我が国のエネルギー政策に関する討議実験を行った。エネルギー政策、とりわけ火力・原子力・自然エネルギー発電の割合については、東日本大震災後に大規模な討議実験が行われている。この討議では、明確な意見を持たなかった参加者の一部が、多数派意見や強い意見に説得された可能性があると指摘された。こうした説得効果を減じ、より自由に各人が意見を述べ、多様な議論が展開されるように、モデレーター導入やオンライン・ディスカッション化といった工夫を行った。このように本課題では、脳科学の実験室実験・調査・討議実験を行うことで、多面的・統合的な知見を得ることができた。 研究成果の一部を紹介した論文が学会誌に掲載予定である。今後、様々な知見について学会誌への投稿や学会発表を進めていく。
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