研究課題/領域番号 |
21K01334
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
|
研究機関 | 津田塾大学 (2022-2023) 武蔵野大学 (2021) |
研究代表者 |
深谷 健 津田塾大学, 総合政策学部, 教授 (50737294)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | リベラリズムの鉄則 / 規制強化 / 政府内規制 / EBPM / 効率化 / 公共ガバナンス / 過剰評価 / 官僚制 / 市場 / 行動インサイト / プラットフォーマー規制 / ロビイング規制 / 評価基準の標準化 / 証拠による政策形成 / 再官僚制化 / 過剰規制 / 官僚制の逆機能 |
研究開始時の研究の概要 |
新自由主義改革の進展を経て、日本の規制改革が再び脚光を浴びる中、規制をはじめとする官僚制機能の減退傾向が指摘され、そのスリム化が規範的に論じられることがある。一方で、他の先進諸国と同様に日本においても、「小さな政府」への移行が進むほど、逆に、ルールの量的増加・質的強化が進んでいる。なぜ政府規模が縮小する過程で官僚制機能が強化されるのか。本研究では、行政活動の縮小過程で逆に規則化が進むというこのパラドックス現象を「再官僚制化」として捉え、このメカニズムを理論的に明らかにするとともに、市場・行政領域いずれでも出現する多様な行政機能とその逆機能を、現代日本の官僚制を素材として実証的に解明する。
|
研究実績の概要 |
規制改革や内閣機能強化など同時代的に経験した目的の異なる各種制度改革を経て、この間、ともすると規範的な改革志向から行政のスリム化が論じられるなか、政府規制の在り方とその行く末も再び脚光を浴びるようになってきた。他方、その実態面を具には観察するには、他の先進諸国と同様に、「小さな政府」化が進むほどにルールの量的増加と質的強化が進むその一般的傾向を把握することが必要となる。おそらく、こうした変化は様々な行政領域で進みつつあるものの、その理論的整理と経験的知見は未だに断片的な状況にある。行政活動の縮小を意図することにより、逆に行政的な規則化が進むとすれば、こうしたパラドックス現象はいかに説明できるのか。この問題関心から、本研究は、不可逆的に進展しつつある行政機能の強化メカニズムを、現代日本の官僚制を素材として実証的に解明しようと試みる。これまで、2つの視点:(1)市場創発型と(2) 行政内在型を提示し、それぞれ同時並行的に研究を進めてきた。2023年度も引き続き(2)に関連して、公共ガバナンス改革を素材としつつ行政組織内部における効率化とその逆機能に焦点を当てた研究を行ってきた。また、関連して、別に遂行してきた行政実務との共同研究として、自治体組織内部の公務員の実態に関する研究成果を公表した。これも、資源不足を背景とした組織の効率化がいかに組織内部負荷に繋がっているかを示唆するものであり、あらためて現代日本の官僚組織の特徴を再考する契機となった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
この間の研究状況は私事により本研究のみにエフォートを割くことが難しく、当初に予定した進捗を見たわけではなかった。この点で、実証研究は次年度以降に持ち越された。 それでも、2023年度秋の欧州訪問により、同時遂行する科研費「国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A)」との関連性を意識つつ当該研究計画を再考することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度に引き続き、以下の方針をもとに研究を進めることになる。 まず、官僚制の「リベラリズムの鉄則」仮説が妥当する領域と妥当しない領域について、引き続き日本の行政を素材として選別する。その際、規制領域の拡大と評価領域の拡大については引き続き注視する。次に、こうした全体の類型的整理とあわせて個別領域の分析を深めてゆく。具体的には、(1)市場創発型の検討素材として、市場変化をもとにルール形成が進みつつあるプラットフォーム規制やロビイング規制(ロビー活動の透明化を志向するもの)を素材としつつ、その規制強化メカニズムを分析する。この作業を通じて、多くの場合、市場強者の論理に基づきルールの標準化が進みつつある可能性を示唆する。 また、(2)行政内在型の問題として、透明化やデジタル化を志向する公共ガバナンス改革に焦点をあて、いわゆる行政運営の効率化を推進するルールの標準化がどのような限界を抱えているのかについての考察を深める。ここでは、改革動向がセクショナリズム等の既存の固有行政論理にいかに規定されているのかについての分析を深める。 なお、2024年度は、以上の試みを、同時遂行する科研費「国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A)」と本格的に連動させることになる。欧州諸国の調査、ビューローとしてのOECD公共ガバナンス委員会への参与観察的な出席を通じて、行政運営を改善しようとする改革の中にある行政的限界構造を析出することが本プロジェクトの狙いのひとつである。こうした試みを通じて、標準化された行政機能のあり方の可能性と限界を議論する。
|