研究課題/領域番号 |
21K01343
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
藤井 広重 宇都宮大学, 国際学部, 准教授 (60815645)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 国際刑事裁判所 / アフリカ連合 / 司法化 / ケニア / 選挙暴力 / 司法制度改革 / 司法介入 / 国際刑事裁判所(ICC) / 現代アフリカ政治 / アフリカにおける人権保障 / 移行期正義 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題の問いは「どのような条件下で国家が国際刑事裁判所(ICC)から脱退するのか」である。ICC締約国会議やアフリカ連合にて展開されてきたアフリカ諸国による脱退をめぐる政治力学を探究し、ICCからの脱退を決めた国(ブルンジ)、ICCへの脱退通告を取り消した国(ガンビア、南アフリカ)、国内で脱退に向けた決議を可決しながらも脱退通告を行っていない国(ケニア、ウガンダ)を中心とした複数事例研究に取り組み、過程追跡法を用いて脱退をめぐる諸要因を特定する。そして、複数事例の比較考察によって仮説の検証を通したアフリカ諸国と国際人権保障をめぐる実態の解明と理論的な貢献に資する研究成果を生み出す。
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研究実績の概要 |
本研究は、国際刑事裁判所(ICC)を事例に、アフリカ諸国による脱退をめぐる政治力学をICCと国家との関係性から探究し、本領域における理論化を試みるものである。 2021年度は、本研究の分析枠組みを構築するとともに、アフリカとICCをめぐる政治動学を考察した既存の先行研究の整理を行った。このような基礎作業の進捗によって、次の3つのテーマに基づく査読論文を公開することができた。1つ目の論文では、ICCの設立過程に焦点を当て、ローマ会議にてアフリカ諸国がどのような立ち位置であったのかを明らかにすることを試みた(「国際刑事裁判所(ICC)の設立とアフリカによる関与の実態」『アジア・アフリカ研究 61巻3号』)。1つ目の論文にてICC設立時におけるアフリカ諸国の消極的なスタンスを明らかにしたことで、2つ目の論文にて、その後にICCと対峙したアフリカ諸国が、アフリカ連合を通して、ICC対外政策をどのように展開してきたのか、その変容のプロセスを司法化の現象を手がかりに論証した(「国際刑事裁判所をめぐるアフリカ連合の対外政策の変容:アフリカの一体性と司法化の進捗からの考察」『平和研究 第57号』)。そして、3つ目の論文では、事例研究としてICCが司法介入を行ったケニア国内の変容を2007年選挙後暴力以降に生起してきた司法化の現象の進捗とともに考察し、2022年に予定されている大統領選挙に向けた現状の分析を行った(「ケニアにおける司法化する選挙と2022年大統領選挙の行方―司法化の進捗は選挙暴力を防ぐのか?―」『アフリカレポート(独立行政法人 日本貿易振興機構アジア経済研究所)第60巻』)。 これら査読論文の公開に加え、日本アフリカ学会学術大会、日本平和学会春季研究大会アフリカ分科会、アジア・アフリカ研究所定期研究会にて、口頭発表の機会を頂き、分析枠組みの精緻化を図った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、ケニアでの現地調査を予定していたが、新型コロナウィルスの影響によって、現地での調査を計画することができなかった。しかし、調査のための時間を、既存の先行研究を整理することに充て、理論的検証を重ねることで、分析枠組みの精緻化を図り、さらに査読論文を3本公開することができた。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルスの影響のため、海外での調査には制限があると考えられる。海外での調査の可能性を検討しながらも、文献調査や資料分析を引き続き継続することで、本研究の基礎を固め、個別具体的なICCと国家の事例を分析枠組みに当てはめながら、事例研究の蓄積に注力する。また、著書の出版に向けて準備を進め、まとまった分量の研究成果の公開を検討する。
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