研究課題/領域番号 |
21K01351
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
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研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
三船 恵美 駒澤大学, 法学部, 教授 (40312110)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 香港 / カラー革命 / 米中関係 / 国際秩序再編 / 一国二制度 / 国家安全維持法 / 国安法 / 李家超 / 警察都市 / 香港の選挙制度 / 資格審査の導入 |
研究開始時の研究の概要 |
「香港問題をめぐる米中関係」に焦点を当て、香港における自由主義の終焉と権威主義の膨脹が米中関係に及ぼしている地政学的な動揺、また、東アジアの地域秩序形成が香港問題をめぐる米中関係にもたらしている影響とメカニズムを解明する。分析に際して (1) 「新冷戦」の枠組みではない、米中の対立構造としての国際システムの転換、(2) アメリカによる「カラー革命(民主化運動による統治体制の変革)」と危惧する中国側の危機認識と米中双方の対抗措置と政治動向、(3) 香港とマカオの2つの特別行政区と広東省の9都市の発展計画である「グレーターベイエリア(粤港澳大湾区)」への影響、という3つの視角から捉え、研究する。
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研究実績の概要 |
(1)「法による統治」の制度化が益々強化された1年であったことを分析した。その内容は、平和安全保障研究所から2024年刊行される『アジアの安全保障』に収載予定である。 (2)香港問題をめぐり、イギリスと中国は関係悪化した。その分析結果を、2024年刊行予定の『中国年鑑2024』において論じている。 (3)米中覇権競争時代の国際秩序再編については、以下などで研究成果を公表した。「新時代の中国の特色ある大国外交」における中東ユーラシアと 「一帯一路」に対する国際南北輸送回廊(INSTC)」 (中東調査会website)、「中国の「大国外交」と南アジア」 (国際貿易投資研究所『世界経済評論』 (2024年5-6月号(特集「多様化が進む南アジアの国々:現状と今後を知る」))、「勢力圏競争における大洋州島島嶼国の含意と中国リスク―パラオ、キリバス、ソロモンについての考察―」 (日本国際フォーラムwebsite 2024年2月)、「ロシアは中国に従属を強いられ始めているのか」 (日本国際問題研究所『国際問題』 2024年2月号(特集:ウクライナ戦争とロシアのゆくえ)、「海洋での膨張を進める中国」(霞山会『東亜』2024年2月号)、「中国外交におけるグローバル・サウスと中東」中東調査会『中東研究』 第549号(2023年度Vol.Ⅲ) 28-37 2024年1月、「中東における米中の大国間競争」(霞山会『東亜』2023年11月号 44-45 2023年11月)、「勢力圏からアメリカを排し世界の中央をめざす中国」(中央公論』9月号)、「米欧の『デリスキング』のレトリックに反撃しようとする中国 」(霞山会『東亜』2023年8月号)、「中国は停戦の仲介者たりうるか」 (『外交』80号、203年7月)、「習近平のロシア訪問と“ウクライナ 12 項目提案」(霞山会『東亜』2023年5月号)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
(1)スパイ行為など国家の安全を脅かす行為を取り締まる「国家安全条例」の審議が2024年3月に立法会で開始され、同月スピード可決され、同月23 日に施行された。2023年秋の施政方針演説で李家超行政長官が香港基本法23条の法制化すなわち「国家安全条例」の制定を2024年内に実施することを明言していたので、「国家安全条例」をめぐるプロセスとアメリカ、イギリス、日本の反応も分析しなければ、本研究の最終報告書としての学術論文を書くことはできないと判断した。そこで、2024年のこうした動向を分析した上で、本研究課題の成果を論文にしようと考えた。 2023年の香港は、かつてのコモン・ローによる「法の支配」と「香港基本法」(香港のミニ憲法に相当)に明記された市民権が打ち砕かれ、「法による統治」の制度化が益々強化された1年であった。その1つの区切りが2023年3月の全国人民代表大会における諸会議における香港への発言、政策、そして同月に実施された「国家安全条例」の法制化であった。 (2)その一方で、国際秩序再編期における米中関係の研究は予定通りに進んだと言える。特に、ユーラシアと大洋州における国際秩序再編についての研究成果は論文・評論・コメンタリーの形で公表することができた。 (3)香港の動向については、平和安全保障研究所の年報『アジアの安全保障』で収載されることになっている。動向分析は予定取りに進んだと言える。
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今後の研究の推進方策 |
「国家安全条例」への国際的な反応、中国とほんこんの動向を分析した上で、本研究課題の成果を論文にする。
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