研究課題/領域番号 |
21K01354
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
福田 円 法政大学, 法学部, 教授 (10549497)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 中台関係 / 中国外交 / 一つの中国 / 「一つの中国」政策 / 「平和統一」政策 / 米中台関係 / 「一つの中国」原則 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究においては、1990年代に中国共産党が「一つの中国」原則を主張しはじめる素地が、1980年代にいかに形成されたのかを考証する。具体的には、鄧小平が1980年代に台湾に対していかなる「平和統一」政策を展開しようとしたのか、中国からの「平和統一」攻勢に台湾の蒋経国政権はどのように対応しようとしたのか、米レーガン政権はこの時期を通じた中台関係の質的変化にいかに向き合ったのかといった問いに答える。
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研究実績の概要 |
本研究は、主に米国や台湾の公開公文書や中国の公刊史料、関係者の日記やオーラルヒストリーを利用し、米中国交正常化後の中国の対台湾「平和統一」政策と、米中、米台間の交渉内容を紐解き、それらが1980年代以降の米中台関係の構造をどのように変化させたのかを分析するものである。 2022年度は、1970年代を通じて中国・台湾間の外交闘争がどのように展開していったのかについてまとめ、それが米中国交正常化や米華断交、さらに中国側の帰結としては1979年以降の「平和統一」政策の展開にどのように繋がったのかに関する研究を続けた。2021年度に台湾で行った史料調査やインタビューの成果を吟味しつつ、これまで中国、台湾、米国などにて収集した中国共産党の内部史料と照合しながら、1980年代に「平和統一」政策が打ち出された背景を、国際環境や国内政治情勢との連関に注目しながらまとめた。 2022年度は、新たな史料調査を行うことができなかったので、これまでの収集史料をまとめ、各種研究会や学会で報告し、論文発表に向けてブラッシュアップすることに注力した。まず、1970年代を通じて、中国と台湾の間の外交闘争における力関係が徐々に変化し、闘争の担い手や論点も相互に作用しあいながら変化していったことについて、特にアジア太平洋地域での外交闘争に焦点を当てて分析した。また、米中国交正常化のプロセスについては、これまでに収集した史料と先行研究を突き合わせて、蒋経国を中心とする台湾側の対応や米台間の交渉について新たな分析を行い、その経過を学会にて報告した。さらに、こうした研究の副産物として、1970年代に形成された国際社会における「一つの中国」レジーム(「1972年体制」などとも呼ばれている)の今日的意味と問題点に関して、複数の論説文を発表し、講演や学会報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度も中国や台湾では、新型コロナウイルス流行による渡航規制や渡航後の隔離規制などが続いたため、中国共産党の内部史料をさらに収集したり、インタビューをさらに進めたりするための海外調査は行えなかった。中国共産党が「平和統一」政策を打ち出した背景である、米中国交正常化の経緯に関する調査は一定程度進み、1970年代を通じた中国・台湾間の外交闘争などについて昨年度に得た知見をまとめることはできたものの、中国側の認識や、共産党内部で「平和統一」政策を打ち出すに至ったプロセスについて、踏み込んだ分析をするには至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度の終わり頃から、台湾での史料調査はかなり自由に行えるようになった。また、米国への渡航もスムーズにできるようになっている。そこで、2023年度は中国の「平和統一」政策を台湾や米国はどのように受け止めたのかという点に焦点を移し、研究を継続する。「平和統一」政策について台湾の蒋経国政権 が「交渉せず、談判せず、妥協せず」の三不政策で応じたことはよく知られている。しかし、その背景にはどのような認識があり、中国政府から次々となされる 交渉の呼びかけにどのような方法で対応したのかについては、明らかになっていないことも多い。また、米国ではカーター政権からレーガン政権への政権交代があり、対中政策が再検討されるようになった。こうしたプロセスに関する史料を新たに収集したい。
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