研究課題/領域番号 |
21K01355
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
金 ゼンマ 明治大学, 国際日本学部, 専任教授 (70509562)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | リージョナル・ガバナンス / 国内政治 / 経済制裁 / 経済安全保障 / 武器化された相互依存 / グローバル・ガバナンス / TPP / 地域的な多国間主義 / 通商政策 / 韓国の政治経済 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、貿易分野のガバナンスの特徴として、二国間協定から貿易の自由化を原則とする地域的多国間制度へと移りつつある現象に注目する。多国間の国際貿易レジームによる自由貿易の制度化は進まず、国家から市場への相対的なパワー・シフトが進行している。本研究では日韓両国が地域的多国間主義へとシフトする要因を探ることによって、パワー・シフトと貿易をめぐる地域的なガバナンスの変容について明らかにする。従来の研究は、東アジアのFTA締結の原因として国家間のパワー・バランスの変化を指摘するが、本研究では各国の利益団体や大統領のイニシアチブに注目する。そうすることで、FTA政策の決定要因の特定が期待できる。
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研究実績の概要 |
2023年1月に「日本の対韓経済制裁をめぐる対立の連鎖-経済的相互依存の「武器化」と錯誤」を『日本の経済外交:新たな対外関係構築の軌跡』(勁草書房)において発表(共著)した。本論文は、日本の韓国に対する経済制裁をめぐる対立の原因を探ることで、日韓の通商政策の比較において示唆を与えるものであった。 日韓の対立が激化した要因を探る際、本論文ではヘンリー・ファレルとエイブラハム・L・ニューマンの提起した「武器化された相互依存(weaponized interdependence)」の概念を援用した。この議論によって、日韓が経済的相互依存関係を築きながらも対立した背景と、経済と安全保障との関連を探ることを目的とした。具体的には、経済制裁の実施国とその対象国との錯誤、すなわち意図の相互誤解のメカニズムを捉えたものであった。それは、経済安全保障に対する考察にもつながったとされる。対立激化の要因は、日本が対韓措置に関してその意図を明示しなかった点と日本の措置の目的・手段関係に不均衡があった点に見い出せた。同時に韓国で日本の真意を把握するのが難しくなり、韓国国内にも元来それを阻害する要素が存在した。さらに、多元的なコミュニケーション・チャネルが、日韓間に欠けていた点も明らかになった。経済的相互依存論の観点から、日韓両国の政治過程を検討し、どのように錯誤が生じて対立が激化していったのか、その要因を明らかにしたことが本年度の主な研究成果として挙げられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まだ途中段階ではあるが、日韓の通商政策をめぐる争点をめぐって「日本の対韓経済制裁をめぐる対立の連鎖-経済的相互依存の「武器化」と錯誤」を『日本の経済外交』(勁草書房)において発表(共著)することができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまで得られた情報をもとに、International Studies AssociationやAmerican Political Science Associationなどの国際学会にて報告を行い、最終的なチェックを行う。論文は、『韓国国際政治論叢』(韓国国際政治学会誌)もしくはAsian Surveyに投稿し、成果として発表する。
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