研究課題/領域番号 |
21K01358
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
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研究機関 | 名古屋商科大学 |
研究代表者 |
兪 敏浩 名古屋商科大学, 国際学部, 教授 (80530245)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 日中国交正常化 / 中国外交 / 米中接近 / デタント / 周恩来 / 米ソ首脳会議 / 毛沢東 / 1970年代 / 米中関係 |
研究開始時の研究の概要 |
1970年代は戦後東アジア冷戦史における重要な転換期であった。三国史を彷彿とするこの時期の国際関係に対する考察から得られる国際政治の本質への示唆は今日に至っても色褪せてない。 本研究では、中国がいわゆるドライアングルの構造のなかで、デタントを推進するアメリカとソ連の意図について過敏に反応しながら外交政策の調整または転換を図った過程を明らかにする。特に米中関係、日中関係に焦点を当てながら、転換期における東アジア国際関係のダイナミズムについて一次史料に基づいた実証的かつ体系的な分析を行いたい。
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研究実績の概要 |
先行研究が十分掘り下げることのなかった1970年代初期の中国の対日国交正常化外交と戦略に焦点を当て、中国がどのような論理と戦略に基づき、対日国交正常化外交を展開したかを明らかにすることを目指している。現段階の研究成果は部分的なものに過ぎないが、次のようなことが指摘できる。 文化大革命の終了後中国はより現実的な外交へと軌道修正したが、対日関係においては佐藤政権にする強い不信感から軍国主義批判を特徴とする従来型の狭い統一戦線外交を展開した。しかし、沖縄返還の日米合意を成し遂げた佐藤と自民党政権の支持基盤は強化され、安保闘争もかつての勢いを失っていた。そこで中国は対米関係を優先的に推進し、対日外交においては、日本国内で高まる対中国交正常化を求める世論を見据えながら、統一戦線外交対象を従来の「左派」からいわゆる「中間派」「財界」へと拡大した。 中国の国連加盟、ニクソン訪中による米中和解は確か日本の対中世論に大きな影響をもたらし、対中国交正常化を求める世論は一層高まった。佐藤自身が続投を否定したことからポスト佐藤の人事とその対中政策に広く関心を集まるなかで、中国もポスト佐藤の人事の行方を注意深く見守った。 ところで、米中接近は日本の対中世論を動かした反面、米ソデタントという中国にとっては好ましからぬ外交展開の一助となった。米ソ首脳会談に象徴される米ソデタントが進むと、米ソ二つの超大国に対する中国の外交立場がそれだけ弱体化することになりかねない。対日外交の打開は中国の外交的立場を強化する一つの有効な手段として認知され、そのため中国は対日国交正常化に高い外交の優先順位を与えることになったのである。 上記の内容について重点的に研究を進める一方、中国の対米政策過程、中国の対日観などについても研究を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年から海外での史料調査が可能となり、論文執筆の条件が整えつつある。今年からは引き続き資料調査を進めながら、論文執筆により力を入れたい。
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今後の研究の推進方策 |
本研究プロジェクトも3年目に入り、これまでの研究活動で得られた知見を査読付き論文としてまとめ、公刊する段階にきていると思う。今後も引き続き研究計画調書に記載された研究計画に従って研究活動を行う一方、次の三つのテーマを優先的にとりかかり、それぞれ独立論文としてまとめる予定である。一つ目は、「日中国交正常化と中国の外交戦略」についてである。二つ目は、「デタントと中国外交の転換」についてである。三つ目は、「中国の対米接近外交の政策過程」についてである。 これらの研究を順調に遂行するために、昨年に続き、今年も海外での資料調査を精力的に行う予定である。
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