研究課題/領域番号 |
21K01370
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
石黒 馨 神戸大学, 経済学研究科, 名誉教授 (20184509)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 貿易戦争 / 政治的支持関数 / 2レベルゲーム |
研究開始時の研究の概要 |
貿易レジームの相違や各国の政治経済制度の相違を考慮しながら、米国や中国のような大国間の貿易戦争が、貿易戦争の当事国だけではなく日本のような第三国の政治的支持関数に及ぼす影響について検討する。貿易レジームの相違とは、貿易戦争の当事国や第三国の間で自由貿易協定がどのように締結されているかということである。また政治経済制度の相違とは、政府と拒否権プレーヤー(議会・省庁官僚・利益集団)との間で政策選好にどのような相違があるかということである。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、国際貿易レジームの相違や各国の政治経済制度の相違を考慮しながら、大国(米国と中国)間の貿易戦争が、日本のような第三国の国内政治や政府の政治的支持関数に及ぼす影響について明らかにすることである。本年度は、昨年度に引き続き、理論的分析と実証的分析に関して以下のような点について検討した。 第1に、理論的な分析については以下のような貿易戦争のモデルの構築を試みた。貿易戦争に参加しない日本のような第三国への貿易効果、特に最適関税率による間接的な貿易効果を理論的に分析できるような貿易戦争の3国モデルの構築である。このような貿易戦争のモデル構築において、特に注意したのは、従来の2国間の貿易戦争のモデルを2レベルゲームの枠組みで政治経済的に非対称な3国間の貿易戦争のモデルに拡張することである。政治経済的な非対称性で注目したのは、3国間の国内経済の非対称性と国内政治の非対称性である。これらの政治経済的な非対称性が各国の政治的支持関数に及ぼす影響を分析できるような3国間の貿易戦争のモデルの構築について検討した。 第2に、実証的な分析については、貿易戦争が日本のような第三国の国内政治や政府の政治的支持関数に及ぼす影響を観察することができるデータの収集である。特に、政治的支持関数に及ぼす影響を実証的に検討するために、各国のマクロの政治経済データを収集した。しかし各国のマクロの政治経済の既存のデータについては、この研究目的に沿った相応しいデータを入手することはかなり困難であることが判明してきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理論的分析と実証的分析に関する進捗状況は以下の通りである。第1に、貿易戦争の3国モデルの構築については、昨年に引き続き概ね順調に進んでいる。従来の2国間の貿易戦争のモデルを2レベルゲームの枠組みにおいて、政治経済的に非対称な3国間の貿易戦争のモデル構築を試みた。 第2に、実証分析については、データ収集がかなり遅れている。貿易戦争が日本のような第三国の国内政治や政府の政治的支持関数に及ぼす影響について実証的に研究するための調査については、理論モデルに相応しい政治経済データの収集に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進はこれまでと同様に、理論的な研究と実証的な研究に分けて行う。理論的な研究方向は、従来の2国間の貿易戦争のモデルを2レベルゲームの枠組みで政治経済的に非対称な3国間の貿易戦争モデルに拡張することである。既に構築されている2国間の貿易戦争モデルを再構築し、さらに非対称的な3国間のモデルへ拡張する。 3国間の貿易戦争モデルの構築では、以下の点を考慮する。第1に、多様な貿易レジームの比較ができることである。そのための最低限の貿易参加国は3国であり、より現実に近い状況を得るためにはn国へ拡張可能なモデル構築に努める。第2に、3国間の国内経済の非対称性の相違が各国政府の政治的支持関数に及ぼす影響が分析可能なモデルを構築することである。第3に、3国間の国内政治の非対称性の相違が各国政府の政治的支持関数に及ぼす影響が分析可能なモデルを構築することである。 実証的な研究については、引き続きデータ収集に努める。既存のマクロの政治経済データをさらに広く検討するととに、本研究のモデルに相応しいデータの開発についても検討する。
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