研究課題/領域番号 |
21K01373
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
廣瀬 陽子 慶應義塾大学, 総合政策学部(藤沢), 教授 (30348841)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ロシア / ウクライナ / ハイブリッド戦争 / ナゴルノ・カラバフ紛争 / 未承認国家 / 情報戦 / サイバー戦 / 経済安全保障 / 旧ソ連地域 / 安全保障 / ルスキー・ミール / 現代型戦争 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、現在、世界の安全保障の大きな脅威となっているロシアの「ハイブリッド戦争」、すなわち正規戦・非正規戦を組み合わせた戦闘が、ロシア外交の中で、どのような位置を占めているのか、またロシアが実際に何を行い、どれ程の影響を諸外国に与えているのかを包括的に検討するものである。 加えて、それらの分析を通じ、今後のロシアのハイブリッド戦争の展開可能性を分析しつつ、取りうる対策についても検討する。 研究は文献調査と現地調査で進め、フィンランドの研究所や日本企業との共同研究も行いつつ、それらを有機的に分析して研究結果を導き、ロシア周辺の日本を含む極東アジアの安定と平和のための政策提言も行なう。
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研究実績の概要 |
近年、戦争の形が変わったが、それは、正規戦と非正規戦を組み合わせた戦争の形である「ハイブリッド戦争」に代表される。ハイブリッド戦争は、2014年のロシアによるウクライナのクリミア併合で、世界の注目を浴びるようになり、現代の脅威として強く認識されている。 そのような中で、日本並びに世界の安全保障を考える上でも、ロシアの外交政策を考える上でも、ハイブリッド戦争は重要な検討材料であり、まさに今の世界を総合的に考える上で不可欠な要素となっている。そこで、本研究でもハイブリッド戦争の外交的意義と軍事的意義の両面から、その実態の解明と対抗策の検討に力を入れてきた。 だが、2022年2月以降は、「ウクライナ戦争」が現在進行形かつ最先端のハイブリッド戦争の実例として認識されるようになった。ハイブリッド戦争は、戦うアクター、戦い方・手段が多様かつ無限に増えうるため、最先端の事例研究が実態に即した研究には不可欠となる。そのため、本研究は、戦争勃発以後、「ウクライナ戦争」を事例に研究を進めてきた。現在、戦争が継続中のため、結論は出せないが、本戦争では情報戦が特に目立ち、そのプロパガンダ効果が戦果にも大きく影響しており、また社会の分断をも深刻にするなど興味深い影響力を持っている。また、日々新しい論点、戦い方が生まれているのも本事例の特徴であり、興味深い。 他方、ウクライナ戦争に隠れて再燃したナゴルノ・カラバフ紛争に代表される旧ソ連の事例や未承認国家問題の検討からも、興味深い分析を行うことができた。 最後に、これらの問題から日本の安全保障問題への多くの示唆を得た。近隣諸国の脅威も大きくなる中、専守防衛の日本が直面している安全保障上の脅威や対策すべき問題は実に多く、とりわけ、サイバー攻撃、情報戦への対策は急務だ。経済安全保障の側面にも注力した総合的国力の確立が求められる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の計画を立てたとき、まさかロシアがウクライナに侵攻し、戦争を起こすとは思っていなかったため、当初の研究計画にロシア・ウクライナ戦争に関する研究は全く入っていなかった。しかし、昨年度の研究は、ほぼロシア・ウクライナ戦争に関するものがメインとなったため、計画通りの研究とは言えなかったわけだが、逆に、まさに最新のあらゆる要素が含まれた戦争をライブで分析することができたことは、むしろ本研究を机上の空論ではなく極めて現実的にしてくれたとともに、結果的に社会に求められる研究成果を出すことにも繋がり、良い研究が進められたと評価している。 ウクライナ戦争は、まさに新しい戦争の典型的なものであり、ありとあらゆるこれまでなかった要素が次々出てくる。加えて、実際の戦争が行われている中では、とりわけ、近年の戦争の特徴として情報戦やサイバー戦など目に見えない攻撃が重要であるが、それらをすぐに検証できたことの意義はとても大きかったと考える。 現時点で、申請者の発信力はかなり高いと言え、著書や論文、エッセー等の執筆、メディアへの取材協力や出演、政府や国会などでの意見表明やブリーフ、講演(地方自治体や中学・高校・大学などでの講演は特に意欲的に受諾)を多数引き受けてきた。特に、メディアでの発言は極めて重く見られており、筆者がテレビで話した内容がそのまま新聞記事なったことは少なくない。多くのメディアなどから、コメントを求められたということは、ウクライナ戦争に関する分析が評価されている証左と言って良いのではないかと考える。 このように、当初の予定とはアプローチが違うものの、現実のケースをライブで分析することができ、またその成果も多く出すことができたことは、本研究が順調に進んでいると言える根拠になっていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は突然起きたウクライナ戦争によって、研究の方針を大きく変えることとなったが、申請者は、現状分析とこれまでの蓄積された研究の再考の両方の作業を並行して進めていく必要があると考えている。 現状分析については、引き続きウクライナ戦争の分析を進めつつ、2020年に再燃し、停戦をしていたものの、2022年に3回も衝突が再発生したナゴルノ・カラバフ戦争についても調査、分析を行う。 他方、現状を押さえつつ、これまでの研究の蓄積が、現状を説明する上で使用可能なのか、不可能な場合は何が変わったのか、何を変えなければいけないのかということをしっかり分析したいと考える。申請者の研究の鍵となってきたのが、未承認国家問題、狭間の政治学、そしてハイブリッド戦争であった。これらは、どれも旧ソ連の戦争と密接に絡んできたが、それぞれが別個に語られてきた。これらのこれまでの実績をリアルな戦争と連関させて分析する、つまり現状分析とリンクさせる分析を行って戦争に切り込み、本戦争の背景・本質・影響を分析し、戦争予防や和平を考える上での課題を分析し、総合的な観点から様々な提言をしたい。さらにこれらの分析結果を、旧ソ連外の戦争や紛争にもできるようにし、包括的議論に繋げられるよう試みる。 研究協力は日本、旧ソ連諸国、東欧や北欧諸国などの研究機関などと行う。現時点でサイバー問題に強い株式会社LAC、フィンランドのヘルシンキ大学アレクサンテリ研究所およびハイブリッド脅威対策センター、ジョージアのロンデリ財団、アゼルバイジャンの外交アカデミー、ポーランドの東方研究センター等との協力は確約されており、フィンランド、ポーランド、アゼルバイジャン、ジョージア、ドイツ、オーストラリアの各在京大使館とは緊密な協力関係があることから、それら大使館のサポートも得て研究を進める。
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