研究課題/領域番号 |
21K01381
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
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研究機関 | 流通科学大学 |
研究代表者 |
村上 友章 流通科学大学, 経済学部, 准教授 (80463313)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 国連安保理非常任理事国 / 国連平和維持活動 / 安保理改革 / カンボジア / 冷戦終結 / カンボジア和平 / 国連安全保障理事会 / 冷戦後の日本外交 / 外交史料館 / 安全保障理事会非常任理事国 / 二国間外交と多国間外交 / 国際連合安全保障理事会 / 非常任理事国 / 戦後日本外交史 / 冷戦史 / グローバルガバナンス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、国内外の一次史料の分析を通じ、主として冷戦期の国連安保理において展開された非常任理事国たる日本の多国間外交を歴史的観点から再検討する。この作業を通じて戦後日本のグローバル・プレイヤーとしての隠れた系譜を明らかにし、新たな日本外交像を構築するのが本研究の目的である。
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研究実績の概要 |
本年度は研究成果の一部を「二国間と多国間をめぐる日本外交」を特集した日本国際政治学会編『国際政治』212号に「国連安保理非常任理事国としての日本のカンボジア外交」として発表することができた。本研究は戦後日本が国連安保理非常任理事国として展開した外交(非常任理事国外交)を分析するものであるが、本稿が取り上げたカンボジアPKOをめぐる冷戦終結直後の国連外交は、その実績の中でも特筆するべき事例である。第一に、カンボジア各派やタイとの関係(二国間関係)を梃子にしてアメリカも含むP5(多国間外交)に果敢にチャレンジしようとする、冷戦期の国連外交とは一線を画する能動的な日本外交が認められるからである。同時期に日本は安保理常任理事国入りを本格的に画策し始めており、本事例にはその強い影響も認められて興味深い。第二に、カンボジアに初めて自衛隊をPKO派遣したことで、日本が部隊提供国としての一面も持つことになったからである。PKOにおける日本要員の存在はその非常任理事国外交に高い説得力を与える反面、紛争当事者に対する過度に融和的な姿勢を取らせることにもなった。そして第三に、こうした非常任理事国外交を通じて日本がカンボジアPKOの任務を軌道修正する決議を取りまとめるなど、平和構築に極めて重要な役割を果たしたからである。日本はタイとともに紛争当事者への説得工作を繰り返すことで、必ずしも一枚岩ではなかったP5の合意形成に貢献したのであった。冷戦期以来の日本外交の到達点であり、また、冷戦後の日本外交の原型ともいえる本稿の事例は、本研究の座標軸となるべき論考となった。また、本年度は外交史料館にて数回にわたって資料調査を実施し、新たに公開された外交記録を大量に撮影することもできた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画では令和5年度は国内外での資料収集と並行し、冷戦期全般の国連安保理における日本外交(非常任理事国外交)を論稿にまとめる予定であった。だが、コロナ禍による外交史料館での史料閲覧の制約や海外渡航が困難であったことから、昨年度から、すでに資料収集を進めていた冷戦終結直後のカンボジア外交の事例研究を先行させてきた。その結果、本研究全体についての新たな視点や必要な資料についての重要な知見を得ることはできたが、冷戦期全般の非常任理事国外交については未だ資料収集等の途上である。そのため総合的に判断して「やや遅れている」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は国連安保理における日本の投票行動等のデータ分析を急ぎつつ、国内外での資料調査を進め、冷戦期全般の非常任理事国外交についての論稿をまとめたい。
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