研究課題/領域番号 |
21K01383
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
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研究機関 | 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所 |
研究代表者 |
松本 はる香 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター東アジア研究グループ, 研究グループ長 (90450543)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 国際政治学 / 冷戦外交史 / 東アジア冷戦史 / 台湾海峡危機 / 米中関係 / 中国 / 台湾 / アーカイブ / 東アジア国際関係史 / 冷戦 / 外交史 |
研究開始時の研究の概要 |
従来、冷戦時代の台湾海峡危機をめぐる国民党政府(国府)の政策決定をめぐる背景や意図などについては、史料公開上の制約などもあり等閑視されてきた。だが、台湾の民主化によって情報公開が急速に進むなかで、台湾側の歴史史料の活用が期待されている。本研究の目的は、台湾海峡危機がなぜ「熱戦化」することがなかったのか、という問いを出発点として、1950~60年代の蒋介石の「大陸反攻」をめぐる姿勢の変化を分析することにある。特に、蒋介石が台湾海峡危機に際して中国の攻撃に応戦しなかった、自己抑制的な側面に焦点を当て、近年新たに公開されてきた台湾側の一次史料を主に用いて実証的研究を行いたい。
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研究実績の概要 |
本研究は、次のような問題意識をもって進められてきた。冷戦時代の二度にわたる台湾海峡危機に焦点を当て、その間に結ばれた米華相互防衛条約をめぐる米台関係の展開などを中心に論じてきた。従来、台湾側が同危機やアメリカとの同盟関係をいかに捉えていたのかについては、必ずしも十分に明らかにされてこなかった。あるいは台湾側に焦点が当てられたとしても、主として米国側の史料に依拠して論じられるか、もしくは米中関係史の文脈のなかで補足的に論じられる傾向が強かった。だが、台湾側の一次史料を読み込んでいくと、台湾海峡危機をめぐる米台間の矛盾や齟齬について、米国側の分析からは見えなかった側面や、両者のより細かな関係性などが、より立体的に浮かび上がってくるのではないだろうか──こうした問題意識が本研究の出発点である。
以上のような問題意識を踏まえ、今年度は台湾における国際ワークショップの開催を通じて、以下に挙げるような項目について検討を重ねた。特に、当時、台湾が米ソ冷戦の構造に組み込まれつつあるなかで、国府を率いる蒋介石は、冷戦をいかに位置づけていたのだろうか。また、蒋は、どのくらい真剣に中国大陸への復権をめざして大陸反攻をおこなおうとしていたのだろうか。それに対して、米国政府は台湾海峡危機に直面して、国府といかに向き合い、どのような意図をもって対応したのか。それらの対応に矛盾や齟齬などの側面はあったのか。さらに、当時の国際環境の変化とともに、台湾海峡危機を経て、中国と台湾とのあいだの武力衝突に対する抑止が強化されるなかで、台湾海峡における対立構造がいかなる変化を遂げたのだろうか──といったさまざまな問いについて、一九五〇年代に起きた台湾海峡危機や、その間、アメリカと台湾のあいだに結ばれた同盟の形成過程などを外交史的に辿るなかで、これらの問いの答えを探る作業を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、北海道大学スラブ研究所と国立台湾政治大学台湾史研究所の共催によって国際ワークショップを実施し、日本、アメリカ、オーストラリア、台湾などの歴史専門家が集い、東アジアの冷戦史について討論を行ったことは非常に有意義であった。今後とも、こうした学術活動を通じて、国際的な知的ネットワークを強化していきたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
以上のような成果を踏まえて、引き続き本研究を書籍として纏める作業を進めているところである。現時点では、出版社も順調に内定し、今後も出版に向けての改稿作業を進める予定である。
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