研究課題/領域番号 |
21K01386
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07010:理論経済学関連
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
武岡 則男 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (80434695)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 情報獲得 / 曖昧性 / 合理的不注意 / 実験 / 情報構造 / ベイズ整合性 / 主観学習 / 公理的分析 |
研究開始時の研究の概要 |
情報獲得問題とは、不確実性に対して事前確率を持つ個人が、情報の利益と費用を考慮して合理的に情報構造を選択するというモデルであり、経済理論の近年の潮流を形成している。一方で現実の意思決定の状況では、データ不足から確率的な事前信念を形成することが難しい場合が多い。曖昧性下の情報獲得問題の定式化、及びその解の性質を理解することは、情報獲得問題を現実的応用に拡張する上で重要である。本研究では公理的アプローチを採用し、曖昧性のある信念の下での情報獲得を伴う効用関数表現定理を導き出すことを目指す。この研究を通して、観測可能なデータと結びついた実証的基礎を持つ情報獲得モデルの定式化が提供される。
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研究実績の概要 |
情報獲得問題とは、不確実性に対して事前確率を持つ個人が、追加情報を得るために、情報の利益と費用を考慮して最適な実験を選択するというモデルであり、経済理論の近年の潮流を形成している。一方で現実の意思決定の状況では、データ不足から単一の事前信念を形成することが難しい場合が多い。意思決定者が複数信念を持つ状況を曖昧性と呼ぶ。曖昧性下の情報獲得問題を定式化するために、本研究では公理的アプローチを採用し、曖昧性のある信念の下での情報獲得を伴う効用関数表現定理を導き出すことを目指す。この研究を通して、観測可能なデータと結びついた実証的基礎を持つ情報獲得モデルの定式化が提供される。2021年度に、先行研究の公理のうち曖昧性を排除する公理を特定化し、それをどのように一般化すれば良いかという目処を立てた。2022年度はそれを受け、考えるべきモデルとして、実験の集合を曖昧実験と解釈し、それを最適に選択するような個人の意思決定モデルを定式化した。主要結果として、そのモデルの公理的基礎を得ることができた。特に、事前確率が単一である場合には、選択可能な実験が満たすべき制約として事後確率の平均が事前確率と一致するというベイズ整合性がよく知られているが、その複数信念の時の一般化が効用関数表現の一部として導かれた点が興味深い。当初は曖昧実験を選択する費用がかからない制約付き最適化モデルを想定していたが、通常の情報獲得モデルのように曖昧実験を選ぶコストを導入して、より一般的なモデルを想定し、その応用についても研究を行なった。以上をまとめたワーキングペーパーを個人ウェブサイトに掲載した。 8月にオンラインの国際学会で研究報告を行なった他、ボストン大学、イェール大学などで対面のセミナー報告を行い、フィードバックを得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初想定していた効用関数表現定理を証明し、ベイズ整合性の一般化が得られた。さらに応用上扱い易いコスト付き情報獲得モデルへの拡張研究をスタートさせることができた。それらの結果をまとめたワーキングペーパーを個人ウェブサイトに掲載した。また学会やセミナーなどで積極的に研究報告に努めた。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度からスタートしたコストつき曖昧実験選択モデルについては、応用を先行して考えたものの、その公理化はまだ得られていない。現在はいくつかの証明のアイデアを検討している段階である。2023年度以降の主要課題として引き続き検討していく予定である。海外渡航のハードルが下がったため、共同研究者のいるパリを短期訪問して集中的に研究に取り組むことも考えている。
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