研究課題/領域番号 |
21K01401
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07010:理論経済学関連
|
研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
佐野 隆司 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 准教授 (50611208)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
|
キーワード | オークション / メカニズムデザイン / マーケットデザイン / 収入最大化 / 多次元タイプ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、売り手が多数の財を配分(売却)する際の望ましいオークション設計について、ゲーム理論を用いて考察する理論研究である。入札者が多次元の私的情報を持つときの最適オークション設計は、一般に極めて困難であることがよく知られている。そこで本研究では、入札者の持つ私的情報が多次元だが限定された状況に着目することで最適オークションを導出し、その性質について考察する。
|
研究実績の概要 |
本研究は、売り手が多数の財を売却するとき、売り手にとって最適な複数財オークションとはどのようなルールかについて、ゲーム理論的に考察するものである。特に買い手が財に対して多次元の私的情報を持つとき、一般的に複数財の最適オークション設計は極めて困難であることが知られている。そこで、どのような環境であれば直感的なオークションによって売り手収入が最大化されるかを明らかにすることが、本研究の主要な目的である。 令和5年度の主要な研究成果として、前年度に改訂した論文"The virtual valuation approach to optimal multi-object auction design"について、国内学会および国際学会で報告し、そこでのコメント等を踏まえて更なる改訂を施した。本論文では、買い手が特定の2次元の私的情報を持つような複数財オークション環境で、シンプルなオークションルールが最適になることが一般に不可能であること、および売り手に留保価値がある場合には非常に限定された条件下に限りシンプルなオークションが最適となることを示した。本論文については、令和6年度の早い段階で国際的学術雑誌に投稿する予定である。 また令和3年度から始めた、免許や企業買収のようにオークション後の投資によって財の価値が内生的に決まり、かつ買い手が何らかの資金制約に縛られている状況でのオークション設計を研究した論文"Post-auction Investment by Financially Constrained Bidders"を改訂し、理論経済学のトップジャーナルの一つであるJournal of Economic Theoryに掲載した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、まずPost-auction investment論文について、理論経済学分野のトップジャーナルであるJournal of Economic Theoryに掲載できた点で大きな成果が得られた。また、The virtual valuation approach論文について、改訂に少し時間を要したものの、複数の学会等で報告し成果を洗練させることができた。こちらの論文については、令和6年度中に国際的なトップジャーナルへの投稿へとすすめる予定である。 令和5年度は、研究代表者のライフイベント(育児)の制約もあり、当初予定したほど研究報告等の機会を作ることができなかった点は残念であったが、国内外の学会等で報告を行い研究を深めることができた。全体としては順調に研究が進捗していると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方法については、大きく以下の3点にまとめられる。 1."The Virtual Valuation Approach”論文について、国内外の学会・研究会等での報告を積極的に行い、研究成果を洗練させるとともに、国際的なトップジャーナルへの掲載を目指し投稿する。 2.オークションとその前後の投資活動に関する関係に関する研究を下山翔氏(東京大学大学院経済学研究科学生)と始める予定となっている。できるだけ早い段階で研究成果をワーキングペーパーの形にまとめ、成果を報告する機会を作る。 3.引き続き学会・研究会等に積極的に参加し最新の研究動向について収集していく。
|