研究課題/領域番号 |
21K01412
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07020:経済学説および経済思想関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
瀬尾 崇 金沢大学, 経済学経営学系, 准教授 (60579613)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 貨幣の信用理論 / J.A. シュンペーター / 信用創造 / F. ソディ / シュンペーター / 貨幣 / 信用 / 貨幣的サーキット理論 / システム・ダイナミクス / 貨幣・信用 / 貨幣的経済理論 / マネタリー・サーキット |
研究開始時の研究の概要 |
壮大なシュンペーター体系を俯瞰した時,未完のまま遺されたシュンペーターの貨幣理論は,一つの大きなミッシング・リンクである。さらにそれは,貨幣的経済理論の構築という現代に至る経済理論史において,一つの未解決問題でもある。本研究では,現在までのシュンペーターの貨幣理論に関する遺稿研究の成果を踏まえ,シュンペーターの貨幣理論の内容に踏み込んだ理論史研究を進めることにより,シュンペーター体系のミッシング・リンクの埋め合わせと資本主義経済過程の分析との融合を目指す。
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研究実績の概要 |
2022年度における本課題に関連する研究実績は,学会報告2件(海外1件,国内1件)と単著論文1本が挙げられる。 シュンペーターの貨幣・信用理論に関する未刊の著作の文献研究に関する先行研究を踏まえ,経済発展過程における「貨幣の信用理論」の内容の明確化を解明すべき課題として設定し研究を進めた。シュンペーターはその内容を貨幣に関する著作の刊行を断念した後の1939年の『景気循環論』に含める形で論じたことから,「信用の貨幣理論」の解明は,未刊の著作と『景気循環論』に結実する理論的著作に依拠することによって明確化できることを論じた。この研究成果は2022年6月にイタリアのパドヴァで開催されたESHET(European Society of the History of Economic Thoughts)の年次大会で口頭報告した。セッションの司会者だったH.D. クルツ教授(グラーツ大学)およびフロア参加者から今後の研究に向けた貴重な示唆が得られた。 もう一つは,「貨幣の信用理論」の明確化に向けて,他の3人の論者(H.D. マクラウド,A.M. イネス,F. ソディ)との比較検討を通じてこの課題の意義を明確化した研究成果である。前2者はシュンペーターの信用理論と路線を同じくする議論として補完するものだったが,とりわけソディの貨幣論は,現代のエコロジー経済学にも通ずる観点から,経済の実物的側面と貨幣的側面とを統合的に論じ,後者の負の側面を資本主義経済の問題の源泉と位置付けるものであり,シュンペーターの景気循環論も共有する分析枠組みであると言える。この研究成果は2022年10月に開催された経済理論学会第70会大会の企画セッションで口頭報告され,それを踏まえて大阪公立大学の機関誌『季刊経済研究』の特集号の寄稿論文として掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は,1. シュンペーターの貨幣理論に関するこれまでの遺稿研究を踏まえ,シュンペーターの貨幣理論の内容と意義,そして限界を明らかにすること,2. シュンペーターの貨幣理論を貨幣的経済理論史の潮流に明確に位置づけること,3. シュンペーターの経済発展過程の分析に,論点①と②で解明した貨幣的分析を明確に位置づけ,それをシステム・ダイナミクスの手法を用いて分析モデルを構築すること,以上3点を具体的課題として設定しているが,本年度までの研究で1および2の半分まで完了した。2の残り半分は,2022年度の後半に準備を進めており,その成果は2023年6月1-3日にESHETの年次大会で口頭報告が採択済みである。これにより最初の2つの課題にいったん目処がつくことから,2023年度に1と2の成果を反映させたモデル構築に取り組むことによって,当初の研究計画は予定通りの期限で完了する見通しが立っている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の最終年度にあたる2023年度では,6月1-3日にベルギー・リエージュで開催されるESHETの年次大会での口頭報告がすでに採択されている。タイトルは"Towards the reconstruction of Schumpeter’s credit theory of money: Wicksell, Hahn, and the monetary circuit"である。シュンペーターの貨幣・信用理論が,K. ヴィクセルの純粋信用経済とL.A. ハーンの無現金経済から特に影響を受けて形成されたものと見るべきことを提唱する。経済学では,ケインズ研究からいわゆるヴィクセル・コネクションに関する論争を通じて,貨幣的経済理論をめぐる議論がこれまで展開されてきたことはよく知られているが,それとは別の「ヴィクセル=ハーン=シュンペーター」という信用貨幣論の潮流を明確に位置付けるべきことを論じたものである。口頭報告を踏まえて投稿論文として完成させる予定である。 そして本研究課題の最後の具体的課題であるシステム・ダイナミクスを用いたモデル構築に関しては,2021年度の研究成果である拙稿「資本主義経済における技術へのシステム論的アプローチ」(『季刊経済理論』第58巻第3号)で構築したモデルに,貨幣・信用部門を明確にセットアップすることによるベース・モデルの拡張によって研究を進める。その成果のアウトプットは,2023年度に経済理論学会の問題別分科会の研究会報告,進化経済学会年次大会(2024年3月に福井県立大学で開催)での口頭報告を通じて行う予定にしており,最終的に論文の形にまとめて投稿予定である。
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