研究課題/領域番号 |
21K01413
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07020:経済学説および経済思想関連
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
森 直人 高知大学, 教育研究部人文社会科学系人文社会科学部門, 教授 (20467856)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | ヒューム / スコットランド啓蒙 / イングランド史 / 商業 / 主権 / 党派 / 宗教 / 文明 / 専制 / デイヴィッド・ヒューム / 商業社会 / リヴァイアサン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、18世紀スコットランドの哲学者/歴史家デイヴィッド・ヒュームのテクストおよび関連する同時代のテクストを読解して、そこに政治と経済が固有の仕方で結合した社会と歴史の像を見出すことにある。その結合は、暫定的に、自由な交換が織りなす「商業社会」と、その社会を身体とするリヴァイアサン的な国家の結合と表現することができる。本研究では、こうした読解がヒュームのテクストおよび幾つかの重要な同時代のテクストに照らして一定の妥当性を持つことを示し、その上でこの政治と経済の複合がその後の思想史に与えたインパクトについても、同時代および後代のいくつかのテクストに即して試論的に検討する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、思想家D.ヒュームの社会哲学・歴史叙述を「商業と主権の連環」という着眼によって総合的に解釈し、その認識の思想史的な背景と意義を探究することにある。2023年度は、まず昨年度予定していた次の2点の課題に取り組む計画だった。すなわち、(1)ヒューム『道徳・政治・文学論集』の(特に日本における)受容を検討、学会発表を行い論考にまとめる。(2)彼の党派論と宗教論に関して検討を重ね、同時代のキリスト教道徳をめぐる議論についても考察し、学会発表を行う。また2023年度は当初計画の最終年度にあたるため、上に加えて(3)商業と主権の連環をめぐるヒュームの思考と共和主義的言説との対比、(4)この思考とその思想史的な意義についての総括を行う計画だった。 しかし昨年度に続き、「現在までの進捗状況」に記載の理由から研究時間の確保が困難となり、(1)(2)について学会発表等には至らず、(3)(4)は着手することもできなかった。(1)に関しては、昨年度から引き続き関連資料の収集と読解に当たり、特に日本の側の受容のコンテクストをどう把握するかに関して重要な着眼を得ることができたが、これを学会発表まで取りまとめるには至らなかった。(2)については、18世紀英国に関する宗教と党派の重要性、さらに長期的に見た場合の近世ヨーロッパにおける宗教と政治の連関について関連資料の読解を進め、こちらも一定の把握の枠組みを得たものの、未だ発表には至っていない。これらの課題については研究期間を延長して2024年度に持ち越すこととなった。 なお、以上に述べた作業の所期の成果ではないものの、その副産物として、思想史研究におけるコンテクスト理解、特に西洋思想の日本における受容のコンテクストに関して方法論的検討を行い、学生を主たる読者と想定する出版物に一章を寄稿したので、研究発表欄に記載している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本来であれば、2023年度までに上の4点の課題を可能な限り進めて、本研究は実施を終える予定であった。しかしながら、2022年度に生じた所属機関内外での各種業務負担の大幅な増大は2023年度においても継続し、一部の業務についてはさらに負荷が増すこととなった。そのため、4点の課題いずれについても、当初の計画、及び2023年度初頭に再設定した計画から遅れが生じることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
所属機関内外の業務負担の増加は2024年度においても継続し、一部でさらに増大する見通しである。その中で、可能な限り当初の計画に近い成果を挙げるために、以下の方策を取りたい。上記の研究課題の(1)に関しては、研究期間中にまとまった内容を報告することを断念して今後長期的な課題として取り組みたい。この課題についてすでに得られた着眼については、課題(4)を進める中で、その検討と議論の一部として組み込むこととしたい。また研究課題(3)に関しても、研究期間中の検討をいったん断念して、今後の課題としたい。課題(2)については、引き続き検討を進めて何らかの成果公表を目指す。また、当初の計画からは縮小した形となるが、課題(4)に即して、ここまでの研究を取りまとめて今後に向けた展望を示す総括的な考察を行いたい。
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