研究課題/領域番号 |
21K01422
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07030:経済統計関連
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
永井 圭二 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (50311866)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 二乗ベッセル過程 / 局所パラメータ / 観測されたフィッシャー情報量 / 非エルゴード的確率過程 / 逐次解析 / DDSブラウン運動 / 一様最強力不変検定 / ベッセル過程 / 観測フィッシャー情報量 / 時間変更されたブラウン運動 / 局所対立仮説 / 分枝過程 / 基本再生産数 / 逐次検定 / 情報量 / 拡散近似 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の中心的課題は,オンライン観測されるゴルトン=ワトソン分枝過程の基本再生産数Rに関する臨界性検定(Rが1を超えているか,超えていないかの検定),モデルの特定化,推定,変化点探索に対して統計的逐次解析の手法を確立する点にある.まず,移民項のないもっとも簡単な分枝過程を出発点として,移民項のある分枝過程,p階の分枝過程,多次元分枝過程などに拡張してゆく.ここでは,基本再生産数の臨界性検定,次数pの同定,パラメータの推定,変化点の探索といった問題を Fisher 情報量や Kullback-Leibler 情報量を用いた停止時を用いて統計的逐次解析を展開する.
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研究実績の概要 |
バブルや感染爆発といった非エルゴード的な状態を有する確率過程が観測されるときの逐次および非逐次の統計解析について考察を行う。非エルゴード的確率過程とは,観測されるフィッシャー情報量に関して、エルゴード定理およびエルゴードマルチンゲール差分に対する中心極限定理が同時に成立せず、非正規・非正則なランダムネスが残る過程のことである.1に近い根を有する自己回帰過程,1に近い基本再生産数を有する分枝過程が研究対象がその研究対象である。本研究では、誤差項が、条件付き分散についての一致性および条件付きリンデベルグ条件を満たす場合の一階の自己回帰過程を考察し、初期値の影響を考慮した逐次および非逐次の単位根検定を解明した。また、分枝過程については初期値の影響を考慮した一般化最小二乗法を用いた逐次および非逐次の臨界性検定を考察した。自己回帰過程は、1に近い局所自己回帰係数を有するとき、Ornstein-Uhlenbeck(OU)過程に収束し、分枝過程はCox-Ingersoll-Ross(CIR)過程に収束する。CIR過程およびOU過程の尤度比過程における十分統計量は、ドリフトを持つ二乗Bessel過程であらわされる。本研究では一般的な連続時間の二乗Bessel過程に対し、非逐次の局所パラメータの推測および、観測フィッシャー情報量に基づく停止時刻を用いた逐次推測を考えた。数値計算により逐次および非逐次検定のパワー、停止時刻のモーメントなどを求めた。具体的に以下の点が得られた。①.逐次最尤推定量がDDSブラウン運動で表されること、②.停止時刻における観測フィッシャー情報の時間微分がベッセル過程であらわされること、③.停止時刻がそのベッセル過程の逆数の積分であらわされること、④.逐次最尤推定量と停止時刻の結合密度関数および結合ラプラス変換が求められた。⑤.逐次t検定が一様最強力不変検定となること。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
数値計算により研究の具体的成果が出た。OU過程およびCIR過程の尤度比過程において、十分統計量がドリフト付き二乗ベッセル過程であらわされることを発見し、一般論としてドリフト付きベッセル過程のドリフトに関する非逐次および逐次検定の理論を解明すればよいという認識を新たに得て数値計算により各種の動作特性を計算した。また初期値の影響も考慮した理論を構築した。
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今後の研究の推進方策 |
自己回帰係数および基本再生産数が1を超える場合、逆ラプラス変換でもとめた密度関数によってパワーの計算するとき、困難が生じるということがわかった。それは密度関数の級数表現が非常に大きく振動するためである。これは、モーメントに関しては振動しないラプラス変換の級数表現を得たので正確なモーメントを計算できたのにくらべるとかなり問題である。今後の方策としては、1.発散しない逆ラプラス変換の方法を得ること、2.時間順序を逆方向にして新たな分析手法を提案すること、の2つが考えられる。
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