研究課題/領域番号 |
21K01424
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07030:経済統計関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
根本 二郎 名古屋大学, アジア共創教育研究機構(経済), 教授 (20180705)
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研究分担者 |
後藤 美香 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 教授 (50371208)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 電気事業の自由化 / 効率性分析 / 生産性分析 / 生産性指数 / 電力自由化 / 全要素生産性 / 環境効率性 / 確率フロンティア分析 / データ包絡分析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、1990年代半ばの卸売自由化に始まり2020年4月の送配電部門分離にいたる電気事業の自由化過程のパフォーマンスを、9電力会社の生産性分析を通じて定量的に分析・評価することを目的とする。そのために生産性とマークアップ率を計測し、自由化の進展とともに資源配分上の歪みや市場支配力がどのように変化したかを明らかにする。生産性変化率は技術効率性要因、配分効率性要因、技術進歩率要因、規模の経済性要因、(電力・ガス兼業等に分解して、自由化が生産性に与えた影響とその原因を明らかにする。さらに電力会社の環境負荷で修正した環境生産性を計測し、自由化を環境面から評価する。
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研究実績の概要 |
本研究では、わが国電気事業の自由化プロセス全体のパフォーマンスの評価を目的として、1994年度から最近時点までの9電気事業者(旧一般電気事業者)のデータによる生産性分析とその要因分解分析を行う。 2022年度はデータの整備と要因分解分析の方法論の理論的側面について研究した。データについては2016年度以降の期間についてデータベースを構築するとともに、前年度までに完成している2016年度までのデータベースとの接続について種々検討した。電気事業は2020年度の発送電分離を前に事業者の再編が行われ、その前後でデータが接続しない。そこでいくつかの仮定を置いて接続系列を作成した。 要因分解分析についてはHicks-Moorsteen-Bjurek生産性指数を要因分解する方法について、以前に研究代表者と分担者が提案した方法(Nemoto and Goto, J Jpn Int Econ 19, 617-634. 2005.)を理論的に強化した。その結果、他の方法に比べいくつかの点で優れた性質を有する要因分解分析法を得た。この方法は大域的に規模の経済性が存在する場合に適用可能という点で既存のMalmquist生産性指数の要因分解法に優れ、データ包絡分析によって推定された微分可能でない生産フロンティアに対しても規模弾力性の近似値を計測できるという点で、他のHicks-Moorsteen-Bjurek生産性指数の要因分解分析に優れる。 次年度はこの方法で分析を行い、電気事業自由化のパフォーマンス評価を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生産性指数の要因分解分析に用いるわれわれの方法の理論的な強みを明確にできたので、今後予定する実証分析に期待が持てる。データについては、電気事業完全自由化後の2015年度以降とそれ以前との接続の不完全性が分析結果に影響を及ぼす可能性があるので、対策として生産技術モデルの簡易化を検討している。
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今後の研究の推進方策 |
データと分析方法がほぼ完備されたので、今後は実証分析を行って電気事業の自由化プロセスの評価を行う。分析法について方針が明確になったため、当初研究予定になかった欧米の電力市場自由化との比較研究も行いたい。 ただし、わが国電気事業自由化プロセスの完了後、つまり発送電分離が行われた2020年度以降の電力市場をめぐる状況は、新型コロナ感染症の世界的流行とウクライナ情勢の影響により正常な状況とは言い難い。特に2022年度は電気料金が高騰し新規参入事業者の撤退が続く状況にあり、自由化の評価を行うのに適切ではない。2023年度は計画最終年度であるが、状況によってはより正常なデータを得るため一年計画を延長することも検討したい。
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