研究課題/領域番号 |
21K01427
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07030:経済統計関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
末石 直也 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (40596251)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 局所漸近正規性 / 特定化検定 / 有効影響関数 / 局所過剰識別 / タンジェントセット / 効率性限界 / 時系列モデル / セミパラメトリックモデル |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、エルゴード性や定常性などの最低限の仮定の下で、時系列モーメント制約モデルのLAN表現を導出し、畳み込み定理とミニマックス定理を示す。予想される結果は、最適なGMM推定量は時系列データの下でもセミパラメトリック効率的な推定量であるというものである。 本研究で考察するモデルは、時系列データを用いたセミパラメトリックモデルの一種である。セミパラメトリックモデルの効率性限界に関する既存研究はほぼi.i.d.データのケースに限定されており、時系列データに関する研究はほとんど行われていない。実施計画通りに研究が進めば、統計学の分野における大きな貢献となりうる研究である。
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研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、モデルの特定化検定と漸近有効な推定量との関係性に関する研究を行った。過剰識別制約検定やハウスマン検定に代表される特定化検定は、本来はモデルの定式化が正しいかどうかを検定するためのものである。しかし、実態としては、プレテストとして用いられることが多い。すなわち、ある推定量を用いるべきかどうかの判断を行うために用いられている。例えば、過剰識別制約検定のひとつであるJ検定は、GMM推定量を用いてパラメータを推定することが妥当であるかどうかを判断するために用いられている。 本研究では、そのような目的のために特定化検定を用いることは誤りであることを示した。モデルの定式化の誤りを、ある理想的な分布からの「ずれ」であると考えると、そのずれは2つの互いに直交するパートに分解することができる。本研究で示したことは、2つのパートのうちの一方は、検定統計量の漸近的な振る舞いに影響を与えるが、推定量の漸近的な振る舞いには影響を与えないのに対し、もう一方は、推定量の漸近的な振る舞いには影響を与えるが、検定統計量の漸近的な振る舞いには影響を与えないということである。つまり、特定化検定によって検出可能な分布のずれは、推定量の性質とは無関係であるということを意味する。 上記の理論的考察に加え、帰無仮説は棄却されるが、推定量の性質に影響を与えないような具体例を示すべく、数値実験のデザインについても考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
派生研究については完成に近いが、メインとなる効率性限界を求める研究において、証明の方針が立たない部分があり、遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度中の成果については、研究会等で報告を行い、有益なコメント得られたので、それらを反映して、令和6年度中の論文の投稿を目指す。
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