研究課題/領域番号 |
21K01433
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07030:経済統計関連
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
森本 孝之 関西学院大学, 理学部, 教授 (80402543)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | COVID‐19 / ボラティリティ波及 / 連結性測度 / TOPIX‐17 / 実現半分散 / TOPIX-17 / COVID-19 / 経済不確実性 / 市場リスク / 多変量実現カーネル / 多変量ボラティリティ変動モデル |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では , 感染症拡大による経済不確実性の上昇が市場リスクに与える影響について , 種々の多変量ボラティリティ変動モデルを用いて分析することを目的としている . 具体的には , COVID-19 の感染拡大前後数年を標本期間とし , 経済政策不確実性指数およびボラティリティの代理変数である多変量実現カーネル (multivariate realized kernel, MRK) をデータとして用いた多変量ボラティリティモデルを開発することにより , COVID-19 の感染拡大による経済不確実性の上昇が市場リスクに与える影響を包括的に分析する .
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研究実績の概要 |
本研究の目的は, 感染症拡大による経済不確実性の上昇が市場リスクに与える影響について, 種々の多変量ボラティリティ変動モデルを用いることにより分析することにある. 先行研究を挙げるまでもなく, 未曾有の COVID‐19 感染拡大の影響が経済不確実性に大きな影響を与えることは容易に想像できる. しかし, その経済不確実性が「どのような」経路で, 「いつ」の時期に, 「どの」金融資産に, 「どのくらい」の規模で金融市場のリスクに影響を与えるかは未だ明確ではない. そこで, 本研究では上述の COVID‐19 感染拡大前後における経済不確実性の市場リスクへの影響を, 最新の統計モデルを駆使し定量的かつ包括的に研究を行うことを目的とする. 当該年度では, COVID‐19 流行前後の日本市場における業種間ボラティリティ波及効果の分析に焦点を当て研究を行った. 具体的には, 資産間の情報伝達を反映する「波及効果」はシステムのリスクの特定に重要であり, 波及のネットワークを考えることにより, 市場が混乱している時に金融市場を波及するボラティリティ・ショックの流れを把握することが可能となる. つまり, 将来発生する可能性のある金融危機の「早期警告システム」として (Diebold and Yilmaz, 2012), さらに現存する金融危機の進行状況の追跡が可能となる. また, 研究の動機としては, 日本の株式市場における業種間のリスク波及の構造の知見を深めることが挙げられる. どの業種が市場の動きを安定に導くのかを特定することは, ポートフォリオのリスク評価や分散効果にも有効に活用できるはずである (Mensi et al., 2021).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス流行による日本市場におけるボラティリティ波及に関する調査を行い、ボラティリティ波及を定量化するために, Diebold and Yilmaz (2012) で提案された DY 指標を主に用いた. 実証分析では, データ期間をコロナ流行前, コロナ流行期間 1(2020 年), コロナ流行期間 2(2021 年 1 月-9 月), コロナ流行後 (2021 年 10 月) に分割して分析を行った. 分析の結果, コロナ流行期間 1 では日本市場に存在するボラティリティ波及の総量は急増しており, 2021 年 3 月にその影響が消滅していることを解明した. 上述の成果は, 下記の査読付き国際学術誌に掲載された. Shigemoto, H,. Morimoto, T. (2022). Volatility Spillover among Japanese Sectors in Response to COVID-19. Journal of Risk and Financial Management, 15(10), 480.
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今後の研究の推進方策 |
本研究では, 感染症拡大による経済不確実性の上昇が市場リスクに与える影響について, 種々の多変量ボラティリティ変動モデルを用いることにより分析することを目的としている. 具体的には, COVID‐19 の感染拡大前後数年を標本期間とし, 経済政策不確実性指数 (economic policy uncertainty index, EPU) およびボラティリティの代理変数である多変量実現カーネル (multivariate realized kernel, MRK) をデータとして用いる. そして, 下記 5 項目, (i) 経済不確実性および市場リスクを計測するためのデータセットの構築, (ii) COVID‐19 の感染拡大前後における金融市場における構造変化の検定, (iii) EPU を外生変数として取り入れた多変量ボラティリティモデルの開発, (iv) 多変量ボラティリティモデルを用いた波及効果の測定, (v) 連結性測度を用いた変数間の因果性分析, を実行することにより, COVID‐19 の感染拡大による経済不確実性の上昇が市場リスクに与える影響を包括的に分析する. そして, これら当初の研究計画に加えて, テキストマイニングの手法を用いた (vi) 動的トピックモデルによるテキスト系列からの情報抽出, を行うことにより, COVID‐19 感染症拡大による経済不確実性の上昇が市場リスクに与える影響について分析を行う予定である.
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