研究課題/領域番号 |
21K01434
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07030:経済統計関連
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
村澤 康友 甲南大学, 経済学部, 教授 (00314287)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | インフレ期待 / 無回答 / ロバスト統計学 / 区間データ / 非弁別閾 / 物価 / インフレ率 / 繰り返し横断面データ / 関数データ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は,期待インフレ率を区間で回答する調査の繰り返し横断面データを利用して,インフレ期待形成の異質性の要因を動学的な視点で明らかにすることである. 本研究の方法としては,まず期待インフレ率の区間回帰モデルに動学的な構造を導入し,マクロ経済指標に対する期待インフレ率の反応の回答者の属性による差異と,その時間を通じた変化の特徴を明らかにする.次に潜在的な期待インフレ率をモデルから推定し,期待インフレ率の分布関数の動学特性を関数データ解析の手法で明らかにする.
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研究実績の概要 |
本研究課題に関連する令和5年度の研究実績は,具体的な成果としては論文・学会発表ともになかった.本研究課題の進行状況を以下に述べる. 本研究課題の目的は,期待インフレ率を区間で回答する調査の繰り返し横断面データを利用して,インフレ期待形成の異質性の要因を動学的な視点で明らかにすることである.研究を進める中で,期待インフレ率を尋ねる質問に対しては,「分からない」という回答が多いことに気づいた(例えばアメリカのミシガン調査では10%前後).「分からない」という回答の取り扱いについて,インフレ期待形成の実証研究を調べたところ,単純に無視するケースがほとんどであった.しかし「分からない」という回答を無視すると,標本選択バイアスが生じる恐れがある.ある論文について,標本選択モデルによる再検証を行ったところ,実際に標本選択バイアスが生じていると判明した. 多くの先行研究が標本選択バイアスを補正していない理由の1つとして,標本選択モデルが想定する正規分布の仮定に対する懸念が考えられる.そのような懸念に対処するために,モデルの定式化の誤りに対して頑健(ロバスト)な分析手法を検討した.標準的な標本選択モデルについては,ロバストなHeckman推定量が既に開発され,Rパッケージとして実装されており,それを用いて先行研究の再検証を進めている.将来的には区間データの標本選択モデルについて,ロバストな推定量の開発を検討している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題に本格的に着手する前に,期待インフレ率の調査データにおける「分からない」という回答の取り扱いを検討すべきと考えた.現在はロバスト統計学の勉強に時間を要しており,論文の完成がやや遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
現在はロバスト統計学の勉強と並行して論文の執筆を進めている.できるだけ早急に論文を完成させ,国内外の学会発表に応募するとともに,査読付き国際学術誌に投稿する予定である.その後は本来の研究課題に戻り,「分からない」の回答の取り扱いに注意を払いつつ,インフレ期待の区間データの分析を進める予定である.
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