研究課題/領域番号 |
21K01435
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07030:経済統計関連
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研究機関 | 広島経済大学 |
研究代表者 |
高石 哲弥 広島経済大学, 教養教育部, 教授 (60299279)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 暗号資産 / バリューアットリスク / リスク指標 / 時系列解析 / リスク計量化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、最近新しく誕生してきた暗号資産市場の性質を明らかにすることを目的としている。その為に、ハースト指数、マルチフラクタル性、べき指数やボラティリティ非対称性の時間変動などについて調べ、既存の株式市場等と違いがあるかどうかを明らかにする。また、収益率のRecurrence Interval(ある閾値よりも大きな収益率が出現する時間間隔)を利用したリスク計量化も行い、リスクマネジメントへの応用を試みる。
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研究実績の概要 |
本年度は、高頻度ビットコイン価格を利用し、リスク指標であるValue at Risk(VaR)とConditional Value at Risk (CVaR)を1年間の期間で計算し、その期間をずらしながら計算を行うことでリスク指標の時間変動を調べた。多くの金融資産価格収益率の確率分布は正規分布ではなく裾野の厚い分布になることが知られている。確率分布の裾野がべき分布になるとき、CVaRとVaRの比がべき指数のみで表されることを示した。実際の分布でCVaRとVaRの比がどのようになっているかを調べるために確率分布がべき分布で表されたときのべき指数をHill estimator で求めた。そして、求めたべき指数によるCVaRとVaRの比と実際の分布から求めたCVaRとVaRの比を比較した。その結果、高い信頼水準ではCVaRとVaRの比が、べき指数で表された値とよく一致することが分かった。一方、信頼水準が低くなるとべき指数からの値からずれることが分かった。これは、確率分布のすそ野が高信頼水準の領域ではべき分布でよく近似できるが、低信頼水準の領域ではべき分布からずれてくることを示していると思われる。 ボラティリティもリスク指標としてよく用いられる。本研究では、ボラティリティとVaR及びCVaRとの相関を調べた。収益率から実現ボラティリティを計算して、1年間の期間で平均したものをボラティリティ指標とした。そしてボラティリティとVaR及びCVaRの相関を調べると強い相関があることが分かった。また、ボラティリティとVaR及びCVaRの2次元面でデータをプロットするとゆっくりと変動する軌道が得られることが分かった。これは、リスクが1年間の期間で見た場合ゆっくりと変動していることを表し、リスクが高い期間と低い期間が現れること示していると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はVaR及びCVaRの時間変動を調べ、それらの性質を詳しく調べることを目標にしてきた。そして特に、CVaRとVaRの比について、確率分布がべき分布で表されるときにべき指数のみで表されることを示すことができた。また、実際の収益率確率分布においても高信頼水準の領域においてべき指数のみで表されることが確認できた。更に、CVaR及びVaRとボラティリティの相関についても調べることができ、順調に目標を達成できた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、更にVaR、CVaRの性質を詳しく調べる。特に、マルチフラクタル性の時間変動と関連があるかどうかを調べる。またRecurrence Intervalについても調べ、VaR、CVaRとの関連やRecurrence Intervalのマルチフラクタル性について調べる。そして、これまでに分かった結果を論文にまとめる予定である。
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