研究課題/領域番号 |
21K01436
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
高木 真吾 北海道大学, 経済学研究院, 教授 (10326283)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | パネルデータ / 所得分布 / 電力消費 / グループ異質性 / 生産要素の補完性 / ジニ係数 / LASSO / 係数の異質性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では,生産関数において,高スキルの人的資本が物的資本との間で相対的に補完的である場合,経済成長の過程で高スキル層への賃金上昇と所得格差の拡大がもたらされる可能性が示唆されている点に注目する.国別の生産関数に関係する変数のパネルデータを用いて,実際に上記の相対的補完性が存在するのか,そして存在するとすればそれはどの国であり,どの程度経済格差と関連しているのかを定量的に分析することによって,経済格差の原因分析に新しい視点を加えることを目的とたうえで,均質な係数を持つグループを適切に選択する計量経済学的手法についての研究も深める.
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研究実績の概要 |
今年度は二つのパネルデータを用いた研究を行なった. ひとつは世帯厚生を構成員の健康状態と社会経済的背景との関係を探る所得・健康勾配モデルを分析した.特に医療サービスの直接支払額の増加が以下の二つの側面を持つことから「健康」の再分配機能を持つ.支払い増は,予防医療へのインセンティブを高め,不健康なライフスタイルのコストを増加させることを通じて世帯の厚生改善に資する側面を持つ.他方,支払い増は,支払いへの困窮を通じて世帯の経済状態をカタストロフィックなまでに貧困化させてしまう側面を持つ.ナイジェリアの農家世帯パネルデータを用いて,どちらの効果が強いかを定量的に分析し,医療費の増加は健康状態と有意かつ負の相関があることが示された.医療費増加が健康に及ぼすマイナスの影響は,低所得,低学歴,成人世帯でより大きかった.これらの結果は,何らかの医療保険や安全網の導入政策が世帯厚生を大きく改善しうることを示している.この内容は“Out-of-Pocket Medical Care Spending: How Much Health Effect?”(Iziga Jude Ikemefuna氏と共著)という論文にまとめられ,Western Economic Association Internationalの2024年度大会での報告が受理されている. もうひとつの研究は,世帯電力消費の平準化を図るための需要管理において,バンディットアルゴリズムを利用し,世帯レベルでの節電協力要請への呼応確率を推定しつつ,電力使用ピーク時に3%程度の節電を実施可能かという点をオーストラリアの機器別電力消費プロファイルが利用可能なパネルデータを用いて行なった.予備的な分析結果は,「機械学習法を利用した家庭部門の電力需要管理政策に関する一考察」という題目で2023年度に実施された北海道経済学会において報告された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに3本の公刊論文を出し,今年度も国際学会への受理と国内学会への報告を実施したことから順調に計画は進行している.
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今後の研究の推進方策 |
世帯レベルでの電力消費構造は高い異質性を持つ.パネルデータによる分析によってどういった世帯がどのような消費構造を持つかを明らかにすることで,電力需給の逼迫時における需要応答管理に援用可能な情報を収集する.
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