研究課題/領域番号 |
21K01454
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 桃山学院大学 |
研究代表者 |
上ノ山 賢一 桃山学院大学, 経済学部, 准教授 (40580759)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 累進課税 / 動学マクロ / 不決定性 / 金融政策 / 最適金融政策 / 財政政策 / 消費税 / 経済成長 |
研究開始時の研究の概要 |
21年度、22年度は、累進・逆進制の導入が、経済成長率を上昇させるか、均衡経路は安定的であるか、消費税負担の逆進性による所得階層間格差を是正する手段として有効かについて数理モデルを構築し分析する。23年度は累進・逆進度の変更が消費や資本蓄積、税収に及ぼす影響を量的に分析するために、シミュレーションによる数値解析を実施する。研究成果をまとめ次第、学会での報告や経済誌への投稿を行う。
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研究実績の概要 |
2023年度も前年度に引き続き、累進課税を導入した動学マクロモデルの構築、経済ショックの波及効果と課税累進度の関係について分析を行った。2023年度は主に2つの研究を進めた。 (1)ニューケインジアンモデルに異質代表的家計と累進所得課税を導入し、経済ショックの波及効果について分析を行った。流動性制約の有無について2種類の家計が存在し、各家計の課税累進度が均衡経路の決定にどのような影響を及ぼすのかを検討した。先行研究では、流動性制約家計の比率が高くなり、ある閾値を超えると均衡経路の不決定性が生じることが示されている。本モデルの分析の結果、課税累進度が高くなるほど不決定性が生じる流動性制約家計の比率の閾値が低下することを確認した。 (2)認知的割引(Cognitive Discounting)とコスト・チャネルを導入したニューケインジアンモデルにおける均衡経路の不決定性や物価パズルについて分析を行った。本研究を進める中で課税累進度が将来と現在の消費の異時点間代替に影響を及ぼすことが明らかとなり、本分析はその異時点間代替の影響を抑制する効果を持つ認知的割引との関係を考察する中で発想に至ったものである。本分析では累進課税をモデルに導入することは無かったが、金利上昇ショックがコスト・チャネルを通じて消費の異時点間代替の効果を強める一方、認知的割引がその効果を抑制し、結果として金融ショックの波及効果を抑制することが確認できた。この分析結果は、コスト・チャネルの代わりに累進課税をモデルに導入した場合でも同様の結論をもたらす可能性があることを示唆するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度も当初の計画にしたがい、所得累進課税を導入した理論モデルの文献調査、応用モデルの構築、経済ショックの波及効果と課税累進度の関係について分析を進めた。 実績の概要に記載した(1)の研究については、論文としてとりまとめを進めている。23年度中の学術誌への投稿を計画していたが、モデルパラメータに現実的な値を採用した場合、均衡経路の不決定性がかなり生じやすく、現実的な政策結果と乖離する結果となった。そこでモデルの設定を再度見直す必要があると判断し、分析に遅れが生じた。 (2)の分析は論文“The effect of a cost channel on monetary policy transmission in a behavioral new Keynesian model”として取りまとめ、学術誌へ投稿した。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度も引き続き、消費税に所得累進制を導入した新古典派ならびにニューケインジアン動学マクロモデルの分析を進める。主に、消費支出に対する税金(補助金)が所得に連動して変化するように設定し、均衡経路の安定性条件や経済ショックの波及効果、最適金融政策のあり方に対して消費課税累進度がもたらす影響について考察する。分析がまとまり次第、学会や学術誌での発表を進める。
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