研究課題/領域番号 |
21K01458
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
福川 信也 東北大学, 工学研究科, 准教授 (00433409)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | 公設試験研究機関 / イノベーション / 因果推論 / 中小企業 / 技術移転 / 政策評価 |
研究開始時の研究の概要 |
法制度はインセンティブシステム(所有権、裁量、報酬)を変えることで、経済主体の行動 と成果に影響を与える。本研究は、2003年に施行された地方独立行政法人法を事例に、法人化が公設試験研究機関の技術移転生産性(ロイヤルティ)に与えた影響を定量評価する。具体的には、公設試の技術移転に関する包括的パネルデータにもとづいて、法人化に関する反事実分析(ATTとATUの推定)を行う。公設試レベル・特許レベル分析を組み合わせることで、先行研究で未解明の、インセンティブ変化の生産性への複合的影響(意図せざる政策効果を含む)を解明し、幅広い政策立案者が依拠し得る定量的証拠を提供する。
|
研究成果の概要 |
研究期間全体を通じて知識のプロバイダとユーザの双方についてパネルデータを構築し、因果推論を行った。知識のプロバイダに関する分析では、内生的スイッチング回帰モデルをもちいて反実仮想分析を行い、法人化のライセンス収入に対するATT(治療群の平均治療効果)がマイナスであることを示した。知識のユーザに関する分析では、公設試の技術移転がユーザの生産性に与えるATTを推計した。推計においては、傾向スコアマッチングと差の差モデルを組み合わせ、選択バイアスと観察できない異質性を制御した。推計結果から、公設試の技術移転は顧客企業の労働生産性成長にプラスのATTをもつことが明らかとなった。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
知識のプロバイダに関する分析では、反実仮想分析(法人化公設試が法人化されていなかったら・非法人化公設試が法人化されていたらどうなっていたか)を行い、法人化のライセンス収入に対するATTがマイナスであることを示した。法人化は経営裁量の拡大や知財移転を通じて研究活動へのインセンティブを強化する。他方、法人化に伴い設立が義務化される外部評価委員会においては、普及活動に高いウェイトが設定される傾向にある。工業系公設試では同じ技術系職員が普及と研究に資源を割く必要があるため、法人化公設試では資源配分のトレードオフが深刻化し、法人化のATTがマイナスになったと考えられる。
|