研究課題/領域番号 |
21K01472
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
宮澤 和俊 同志社大学, 経済学部, 教授 (00329749)
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研究分担者 |
北浦 康嗣 法政大学, 社会学部, 教授 (90565300)
廣野 誠 徳島文理大学, 総合政策学部, 講師 (30885588)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 国際資本市場 / 国内労働市場 / 政策形成 / 人的資本 / 国債 / 出生率 / 財政の持続可能性 / 労働市場 |
研究開始時の研究の概要 |
初年度は,労働市場と政策形成に焦点を当て,財政の持続可能性に関する国内要因について研究する.理論ベースの研究であるため個別に研究を進めるが,研究会の開催を通して個別研究の進ちょく状況を把握するように努める.研究成果を国際学会で発表し,論文を海外学術誌に投稿する. 2年目は,国際資本市場に焦点を当てた外的要因の研究と国内要因の研究を並行して進める.定期的に研究会を開催し,進ちょく状況を把握する.研究成果を国際学会で発表し,論文を海外学術誌に投稿する. 3年目は,財政規律に関する客観指標を作成する.研究会の開催を通して情報を共有しながら共同作業を進める.研究成果を海外学術誌に発表する.
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研究実績の概要 |
2年目の研究実績の概要は以下の通りである. 1. 一部の先進国で観察される賃金の二極化と大学授業料の上昇を,大学間競争モデルを用いて説明した.大学によって修了要件に差があり,学位を取りやすい大学と取りにくい大学が共存しているというのが主な仮定である.一部の大学で修了要件が緩和されると,大卒労働市場が拡大し,生産性の低い企業に就職する大学生が増える.他方,修了要件の緩和は大学のシグナリング機能を低下させるため,修了要件が厳格な大学への志願者が増加する.その結果,すべての大学の授業料が増えるとともに,修了要件が緩和された大学の卒業生の賃金が低下する.主な結果を日本語でまとめ,大学紀要に発表する予定である.また,大学の修了要件に関する実証研究を踏まえたうえで,内容を拡張した英語版を,2023年度に学会で報告する予定である. 2. 都市と地方の賃金格差(urban wage premium)と,地方財政の格差を是正する手段としての地方交付税交付金の制度設計のメカニズムを,政治経済学の手法を用いて分析した.論文は海外の学術誌に投稿中である. 3. 年齢とともに労働者の生産性格差が拡大する点に注目し,年金や人口高齢化が資本蓄積,所得格差,厚生格差に与える影響を分析した.人口高齢化は,予備的貯蓄を増やすことで資本蓄積を促進する.資本が増えると労働者の生産性が上昇するため,働くことを選択した高齢者と退職することを選択した高齢者の間の厚生格差が拡大する.他方,相対的に生産性の低い高齢者が労働市場にとどまることにより,働き続ける高齢者の平均的な厚生は低下する.本研究の貢献の1つは,人口高齢化と高齢者の厚生格差の間にU字型の関係があることを示した点である.論文は,海外の学術誌に掲載されている(Hirono and Mino 2023).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り,基本的に,研究代表者,研究分担者が個別に理論モデルの構築を進めてきた.投稿中の論文はあるものの,研究成果の一部は海外学術誌や大学紀要,ワーキングペーパーなどで発表されている. 前年度と同様にコロナ禍で移動の制約があったものの,zoomを用いた研究会を開催して情報共有に努めている(Nagoya Macroeconomics Workshop, Doshisha Economics Workshop).
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画にしたがい,3年目は政策形成と国際資本市場に焦点を当て,財政の持続可能性に関する国内要因と外的要因について並行して研究を進める.宮澤は主に,各国の資本市場が統合されたときの経済波及効果を分析する.北浦と廣野は,国内の政策形成のメカニズムを分析する. 最終年度であるため,研究成果の発表を重視する.国内の学会で研究を発表し,論文を海外学術誌に掲載する. 進捗状況を把握するため定期的に研究会を開催する予定である.移動の制約が生じた場合にはリモート開催への変更等柔軟に対処する.
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