研究課題/領域番号 |
21K01478
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
齋藤 久光 北海道大学, 公共政策学連携研究部, 教授 (30540984)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 経済のグローバル化 / 労働移動 / 関税 |
研究開始時の研究の概要 |
グローバリゼーションに対する社会の懸念の一つに,より自由な貿易や投資が貧しい労働者にさらなる貧困化をもたらし,労働者間の経済格差を拡大しているのではないかという点がある.ただし,グローバル経済から恩恵を受ける地域が,その近隣で貧困に苦しむ労働者を引き付け,働く場を提供しているのであれば,グローバリゼーションは必ずしも格差を拡大するものではない.本研究では経済活動のグローバル化が発展途上国の貧困にどのような影響を及ぼすのか,インドネシアの関税削減と国内の労働移動の関係を事例に分析を行い,グローバリゼーション下での工業化や地域政策の在り方について政策提言を行うものである.
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研究成果の概要 |
本研究では,インドネシアを事例に貿易自由化が国内の労働移動にどのように影響するのか,労働者の技能に注目した分析を行った.インドネシアの家計個票データを使い,労働者が地域特性をもとに移動先を選択する離散選択モデルを推定した結果,労働者は,関税が大きく削減された中間財を集約的に生産に用いる産業が集積している地域を移動先として選ぶ可能性が高いことが分かった.中間財の輸入増加はその取扱いに必要な熟練労働への需要を増加させることから,技能の高い労働者ほどそうした地域を好む傾向にあった.しかし,地域間の移動費用は高く,中間財の貿易自由化の影響は主に近隣地域間での移動を促す程度にすぎないことが示唆された.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年,国際的な工程間分業が進展し,中間財貿易の重要性が高まっているものの,中間財への関税削減により発展途上国内の労働移動がどのような影響を受けるのかについて分析した研究は少ない.本研究は,中間財への関税削減が熟練労働力の地域間移動を促すことを明らかにしたもので,その学術的新規性は高い.さらに,現時点では地域間の移動費用が高く十分な労働移動が起きていないことから,その費用を削減し地域間移動を促進することが,貿易自由化による経済的便益を特定の地域に集中させることなく,国内各地域に再配分する上で有効であるという政策提言は社会的に重要なものである.
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