研究課題/領域番号 |
21K01483
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
中村 絵理 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (00611071)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | ガバナンス / 費用関数 / 鉄道事業 / 垂直分離 / 垂直統合 / 持株会社 / 組織間調整 / 組織のコントロール / 公益事業 / 費用効率性 / 組織構造 / 取引費用 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、鉄道・水道・電力などの公益事業が高いパフォーマンスを発揮するための効果的な組織設計の在り方を検討する。公益事業では事業分離や民営化による競争導入が進んでいるが、それによりサービス品質の低下など様々な非効率性が問題となっている。本研究ではこの問題に組織設計の視点から解決法を探る。ハード面としての組織構造とソフト面としての組織間調整システムに注目し、効率性の追求とサービス品質の維持をバランスする両面の組み合わせを明らかにする。研究計画として、まず組織設計についての日独英の国際比較によって論点や分析軸を探り、次に従来の手法から改良された統計的分析方法によってデータ分析を行う。
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研究実績の概要 |
2023年度は、日本の鉄道事業の費用構造を決定するガバナンス要因について検討し、それらの要因が異なることで、企業の費用にどのような影響が出るのかを実証的に検証した。日本の大手私鉄会社27社における2006年から2015年までのデータを用いてトランスログ費用関数の推定を行った結果、以下のような結果が得られた。第一に、多角化することで総費用を削減できることがわかり、これは一般民間企業を対象としたこれまでの文献と整合的である。第二に、コントロール・調整機能と持株会社制への転換は費用に対して統計的に有意な正の符号を示していた。つまり、これらの値が高くなるほど、総費用も増加する。大株主による株式所有は費用の増加につながるが、その影響は持株会社の導入やコントロール・調整機能の規模が考慮されていないモデルでのみ有意であり、限られた環境でのみ影響が顕著になることがわかる。第三に、政府による株式所有は、経営状況が危機に瀕している一部の企業ではコスト削減に貢献できるが、大手大企業では影響は限定的であることがわかった。 鉄道事業の費用効率性促進施策に対する本研究の示唆として、垂直分離と統合の間の最適な中間構造を模索する中で、組織ガバナンス要因の分析が重要であることがわかる。本研究で検討しているガバナンス要因は、垂直統合・分離・中間形態いずれの組織でも企業側で調整可能な要因であり、これらの要因の影響を比較することで、組織形態の与える影響を検証できる可能性を示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本の鉄道事業における費用構造が、垂直分離と垂直統合の場合でどのように変化するかを検証できた。水道事業の包括委託についての研究も、分析・執筆が終わっており、現在学術雑誌に投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、水道事業の包括委託についての研究を進めることで垂直統合・分離の間の中間形態としての官民連携の影響を探る。すでに一本目の論文の執筆を終え、現在学術雑誌に投稿中である。この論文で使用したモデルをさらに発展させた研究を今後実施予定である。
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