研究課題/領域番号 |
21K01494
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
野村 良一 立命館大学, 経済学部, 教授 (60465599)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | FTA |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、非対称的な2国間の自由貿易協定(FTA)の増加という今日的特徴を踏まえ、2国間FTAの形成と逐次的な拡大(既存のFTAの拡大およびFTAの重層的な形成)が、世界全体の貿易自由化に与える影響を明らかにすることを目的とする。特に、(1) 各国政府の長期的視野による政策決定、(2) FTA加盟国が離脱する可能性、の2点に着目し、これらがFTAの形成や世界全体の貿易に自由化の促進に与える影響を理論的に検討する。
|
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、非対称的な2国間での自由貿易協定(Free Trade Agreement: FTA)が世界全体の貿易自由化を促進するかを理論的に検討することである。各国政府の長期的視野による政策決定がFTAの形成を通じた貿易自由化の進展にどのような影響を及ぼすかを主たる検討課題として、市場規模の異なる3国3市場モデルに長期的な視野から政策決定を行う政府を導入し、これまでに行ってきた研究である近視眼的な政府のもとでの結果と比較することで、政策決定における時間的視野とFTA形成を通じた貿易自由化の関係について考察してきた。 これまでの取り組みによって、以下の主たる結論を得た。(1) 市場規模が似通った国の間で2国間FTAが形成されるが、長期的視野によって政策決定が行われる場合、相対的に市場規模が大きい国の間でFTAが形成されるようになる。(2) 市場規模の大きい国の間でFTAが形成されたとき、域外国との市場規模の差が大きい場合は、当初の2国間FTAの形成にとどまり、それ以上の貿易の自由化は実現しない。この結果は、近視眼的な政府の想定の下では得られないものである。(3) 市場規模の大きい国の間でFTAが形成されたとき、域外国と市場規模が大きく異ならない場合には、重複的な2国間のFTAの形成を通じて、世界全体の自由貿易が実現する。これらの結果は、各政府の政策決定が長期的な視野で行われるならば、2国間FTAの形成が世界全体の貿易自由化を阻害する可能性が高まることを示唆している。以上の結果について、関連する海外査読誌に掲載されるよう取り組んできたが、令和5年度においては掲載に至らなかった。令和6年度は論文の改訂を行ったうえで関連する雑誌に投稿する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和5年度は、「2国間FTAの形成が多国間の貿易自由化を促進するかに関する動学的分析」を研究課題とし、年度内に海外査読誌に投稿することを目標としていた。「研究実績の概要」に記した通り、上記の研究課題に関して一定の結果は得たが、年度内に海外査読誌に掲載されるには至らなかった。また、体調不良期間もあり、研究の進捗状況は芳しくなく、研究期間を延長せざるを得なかった。したがって、(4)の状況に該当すると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
令和6年度の前半において、昨年度の研究成果について再検討したうえで、論文を改訂し、関連する海外査読誌に投稿するよう努める。そのうえで、研究計画に基づいて、「2国間FTAの形成が多国間の貿易自由化を促進するかに関する動学的分析」という研究課題について、企業間の生産技術格差を導入した分析に取り組む。その際、分析が複雑になることが予想されるため、市場規模が対称的なケースに限定して取り組み、年度内に研究会/学会報告を行うとともに、論文を作成し、関連雑誌へ投稿することを目標とする。
|