研究課題/領域番号 |
21K01495
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 阪南大学 |
研究代表者 |
西 洋 阪南大学, 経済学部, 教授 (10509128)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | レジリエンス / 産業構造変化 / 異質性 / 不均等性 / 雇用 / 社会的共通資本 / 感応性指数 / R-JIPデータベース / 地域経済 / ヒステレシス / 日本経済 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、経済的レジリエンスを多元的な観点から精緻化し、これを測る新たな尺度を開発する。この尺度を使いレジリエンスの定量化を測ると同時に、多変量解析によってこの決定要因を明らかにする。さらに日本経済が経験してきた代表的なショックに対する産業の反応、及びショックの産業間・マクロ経済への波及メカニズムを析出する。その際、従来の研究とは異なり、レジリエンスの多元的特徴を理解するための定量化尺度を開発し、日本の産業経済構造とその動態的変化を踏まえた研究に応用するという独自の試みを行う。本研究ではショックに対するその耐性や脆弱性、持続期間、回復力、及びこれらの規定要因の理解に貢献するものである。
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研究実績の概要 |
2021年度には,とくにレジリエンスの測定尺度の開発を行った。具体的にはRon Martinが提起した「感応性指数(sensitivity index)」という尺度を発展させ,レジリエンスがそれを構成する産業からどのような影響を受けているのかをあわせて分析することができる「構造的感応性指数(structural sensitivity index)」を独自に定式化した。 2022年度には,この指数を日本の都道府県の雇用のレジリエンスに応用し,その地理的・産業的・時系列的な特徴を明らかにした。この研究を"Industrial sources and unevenness of regional employment resilience in Japan "として,まずはディスカッションペーパーとして刊行し,さらにいくつの改訂を行い,現在国際誌に投稿中である。具体的には,日本の都道府県は1990年代以降に徐々に全般的に雇用のレジリエンスを高めながらも,その地域的なレジリエンス形成の異質性も大きくなっていることを明らかにしている。さらに,この過程で,産業構造変化は,地域のレジリエンスを常に弱める方向で起こっていることを示した。 この研究をきっかけに,経済的レジリエンスを高めていくうえで,政府の財政政策や,社会的共通資本の役割が重要であるという認識に至り,その理論研究に着手した。現在,Fiscal policy and social infrastructure provision under alternative growth and distribution regimesおよびSocial common capital accumulation and fiscal sustainability in a wage-led growth economyを準備している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
22年度の前期には,それまでの研究を"Industrial sources and unevenness of regional employment resilience in Japan "として,まずはディスカッションペーパーとして刊行することができた。この研究は,いくつの改訂を行い,現在国際誌に再投稿中である。 さらに,経済的・社会的・自然的ショックに強い経済(レジリエンスの高い経済)を実現するうえで社会的共通資本の役割を認識するに至り,この理論研究に着手することができた。
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今後の研究の推進方策 |
社会的共通資本は,人々の経済活動や文化的生活を根本から支え,ショックが起きたときのセーフティネットの役割を果たす。こうした社会的共通資本に対する平時からの投資によって,非常時における経済成長の安定が維持されると言われてきた。さらにそれは,効率的な経済活動や,労使間の公平な所得の分配,高い経済成長率の実現に寄与するという実証研究も発表さている。こうした効果は理念的な言説あるいは実証的な結果として提示されているものの,経済理論的にどのように実現するのかを理解するためには,さらなる研究が必要である。22年度の前期に日本の実証研究をいったん終え,今後の研究として,マクロ経済モデルを用いて,社会的共通資本がいかにレジリエンスの強化につながるのかに関する研究を推進していく。
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