研究課題/領域番号 |
21K01497
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 独立行政法人経済産業研究所 |
研究代表者 |
近藤 恵介 独立行政法人経済産業研究所, 研究グループ, 上席研究員 (70734010)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ミクロデータ / 地理空間情報 / ジオコーディング / アドレスマッチング / メッシュデータ / 集積の経済 / コンパクトシティ / 競争促進効果 / 人口移動 / ジョブサーチ / 最低賃金 / 人流データ / 空間経済学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、地理空間上の位置情報を含むデータとミクロデータを統合することで、周辺立地環境が経済活動に与える影響を明らかにする。従来の都道府県や市区町村のデータでは地理単位が大きく、都市内部の経済活動を分析する際に課題が残されていた。本研究では、緯度・経度の位置情報を取得することで、周辺の数百メートル内の経済状況が与える影響を考慮した分析を行い、今後の都市・地域政策の立案に寄与できる研究を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、近年ビッグデータとして利用可能になってきた地理空間データと従来のミクロデータ分析を統合した新たな実証分析の枠組みの開発を目指す。本研究では、特に、「経済活動において周辺環境がどのような影響を及ぼしているのか」という問いに対して、因果関係の観点から明確に答えられるように研究を進めている。 人口減少に直面する日本社会において、コンパクトシティのように集住を促す都市・地域政策が進められているが、主に集積の経済の観点から政策議論が展開されている。例えば、市場規模が大きな都市では平均的に企業の生産性が高いことがわかっており、集積の経済による効果として考えられている。一方で、近年の研究では、競争促進効果が存在することも指摘されている。市場規模が大きいと企業間の競争が激しくなり、低生産性企業は利潤があげられず退出せざるを得ない状況になる。したがって、市場には生産性が比較的高い企業が生き残ることになり、結果的に大都市では平均的に生産性が高くなる。どちらであっても大都市ほど企業の生産性が平均的に高いという結果になるが、背後のメカニズムは全く異なるため、集積の経済を前提に政策を進めていると意図しない政策の副作用が生じてしまう可能性もある。 このように従来の地域データに基づく相関関係分析では大都市ほど企業の生産性が高いという事実までしか言えないが、ミクロデータと立地周辺環境に関する地理空間データを統合することで、因果推論の観点からその背後で何が起こっているのかまで識別することを目指して研究を進めている。 2022年度の研究実績として、一部のミクロデータを入手しアドレスマッチングの専門ソフトウェアを用いたデータの前処理の作業を進めた。またこれまでに開発した市区町村パネルデータを作成するための市区町村コンバータを更新しつつ、英語論文として新たに公開し投稿に向けて準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響で補助事業期間再延長をしていた別の研究課題が最終年度だったこともあり、本研究課題に割り当てられる時間が限られてしまったため進捗状況に遅れが生じている。また在宅勤務の割合も増えていたため、研究室での調査票情報の利用環境が不透明になってしまい、申請書の作成にも時間がかかってしまった。今後は研究室でのデータ分析の時間を増やしていくように修正し、遅れを取り戻せるように尽力する。データ分析を進められている研究については論文執筆が完了でき次第、ウェブでの公開を予定している。
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今後の研究の推進方策 |
一部の研究テーマで利用予定だった調査票情報の申請書作成が大幅に遅れてしまったため、翌年度中にデータを入手できることを優先して研究を進める。これまで英語論文を2本執筆しており、研究期間内に査読付き学術雑誌への掲載を目指す。また、これまでに地理空間データを扱う統計ソフトウェアのプログラムを開発しており、2023年度に海外カンファレンスでの報告に採択されている。日本だけでなく海外にも幅広く研究成果を社会に還元できるような取り組みを増やしながら研究を進める。
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